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その後、トントンとは階が違うのでエレベーターで別れ、私がデスクでパソコンを立ち上げていると後ろの席でカタンと物音がした。ゾムくんが来たんだろう。
「おはよう、先輩」
ここ最近のゾムくんは、決まってコロコロと椅子を動かして私の隣に来て挨拶をする。
さっきの場面が頭に浮かぶも邪念を取り払うために頭をブンブン横に振る。
そんな私を見て「何してるん?」と笑うゾムくんの笑顔が可愛い。くぅ、可愛いぞくそ。
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..
...
来客対応があるから帳簿を資料室に戻してきて欲しいと先輩から言われ引き受けて、その帳簿を抱えて資料室に訪れる。
ファイルの表紙に貼ってある、閉じられた期間を記すテプラを見ながら順番を整えつつ棚に収めていく。
ふと、1つの空間を凝視して元彼と就業時間中に人目を阻んで訪れては交わしていた会話とかなんやかんやを思い出す。
(あー、ついでだし次やる作業に必要な資料持って帰るか)
もちろん、関係を持っていた時もその後もここを訪れることはあったわけで。
そういえば最近ここに来ても前ほど嫌じゃなくなったなと改めて実感する。
「ぁ…っ」
ボーっと考えごとをしながら脚立に乗りファイルを取ろうとしていたため、降りる際に足を踏み外す。手に引っかかったファイルが落下したと同時に中の資料が宙に舞った。
ちゃんとファイルに綴じとかないから出てきちゃうんだよ!なんて倒れる体のことより先にそんなことを考えていると、誰かに受け止められる。
それと同時にふわっと香る香りに床に落ちた衝撃なんかよりずっと心臓が鈍く痛む。
「…っぶな。何ぼーっとしとるん」
落ちそうになったことになのか、それとも声を聞かなくてもわかってしまったその温もりになのか、心臓はバクバクと音を立てる。
よくいう比喩だけど、密着してる体越しに伝わってしまうんじゃないかと余計に心臓が早くなる。
距離が近い!首筋にかかる彼の吐息に体温がさらに上昇するのがわかる。
「顔、真っ赤やで?」
耳元で聞こえる彼の悪戯な笑い声に耳を塞ぎたくなった。
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007(プロフ) - どうもです~。遂にですね…嬉しす ぎてガッツポーズかましちゃいました…!相変 わらず言葉選びが素敵で…。言い過ぎてく どい様ですが、有馬さんのペースで無理せず更新してくださいね! (2019年12月12日 1時) (レス) id: 02706c0822 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 不眠みんみんさん» いえ、困惑させてしまったみたいですみません。早く修繕されるといいですね(^^) (2019年11月13日 18時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
不眠みんみん(プロフ) - 有馬さん» なんかスマホバグってるみたいで他の作品もそうなってますね…勘違いしてすみません! (2019年11月13日 18時) (レス) id: 94afcdf064 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 不眠みんみんさん» はじめまして。コメントありがとうございます。しっかりフラグを外して作成していますが外れていませんか? (2019年11月13日 17時) (レス) id: adf3e71480 (このIDを非表示/違反報告)
不眠みんみん(プロフ) - あれ…私のスマホバグってんのか分からないんですけどオリフラ外してますか? (2019年11月13日 0時) (レス) id: 94afcdf064 (このIDを非表示/違反報告)
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