【d!】ヘビースモーカーと嫌煙家【z/m】

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就業時刻になりしばらくすると課長と共に段ボールを抱えた男性社員が現れた。
やはりエレベーターで一緒になった茶髪の男性社員は今日から異動してくることになった人だったらしい。


「総務二課から異動してきたゾムくんだ。仕事内容は変わらないにしろ下とは勝手が違うところがあると思う。みんなで教えていこう」


うちの会社には総務課が２つある。なかなかに大きな会社だから総務課が１つでは仕事が回らなくなり、数年前に元あった総務課の他に新しく設けたらしい。
総務課�，帆輒害櫚△廼菠未靴討い襪�社内の人間は何故だか刑事ドラマのようなかっこよさを求めて総務一課、総務二課と呼んでいる。


仕事内容は変わらないにしろ、フロアが違うため同じ総務課でも顔を合わさない人の方が多い。ちなみに総務一課の下の階に総務二課があるから下や上と呼ぶ人もいる。


課長に肩を叩かれ挨拶を促された彼、ゾムくんは抱えていた段ボールを置いてよろしくお願います、と深々と頭を下げた。
それと同時にオフィス内に拍手の音が響いて各々よろしくーなどの声かけをして、それが収まると同時に課長の週始めの激励の言葉を聞いて朝礼は終わった。各々席に戻ろうとしたところで課長に呼ばれる。


「ゾムくん、何かわからないことがあったら向井さんに聞くといいよ。彼女はこの部署で一番できるからね」

「何言ってるんですか。まだまだですよ」

「謙遜するな」

「あ、席は今田さんの使ってた所でいいですかね？」

「向井さんの向かいか、聞きやすくていいね。…向井さんの向井…」

「わざとでしょう」


課長は決して年を食っているわけでもなければ若い訳でもない。それでもしっかり部下のことを考えてくれるし時々こうして茶目っ気のある人だ。


「ゾムくん、課長はほっといて席案内するよ」

「ちょっと、冷たくない？」

「…ちっす」


楽しそうにする課長をスルーする私とフフ、なんて笑う課長を見てえ、いいの？みたいな顔するゾムくんを連れてデスクに向かう。
荷物を抱えるゾムくんに何か持とうか？と聞くと大丈夫ですよーと特徴的な白い歯を見せ笑った。

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