一等星の彼女が、闇に隠れた訳【掃き溜めの星】

Nr.6 ページ6

「はぁ……」

下校中の自動車のなかで、盛大にため息をつく。

暖かくなってきた都心の日差しを浴びて忙しそうに歩き続ける大人の方に、車を使っていて申し訳ないとは思いつつも、ひたすら思考を巡らせる。

『きっと、ストレスでしょう。疲れがたまったせいかもしれません。』

この言葉が、私の思考回路を複雑にする原因。

ストレス……ストレス……？

確かに、ずっと我慢をして過ごしてきた。

期待を背負って、生活を守るために精一杯で。

もしかして、この目や能力もストレスから？

この結論はかなり辻褄が合うのだから、ほぼ答えと言っても過言ではない。

因みに、能力はコントロール可能になって、いまでは発動も隠すことも自由自在。

試しにティーに手をかざす。

ティーの表面一帯に、薄い氷が張った。

そして次の瞬間、氷はサラサラと音を立てて消え去る。

残ったティーは、ひんやりと冷たくなっていた。

そしてさらに、表面に氷で植物の蔦を描く。

その上には、Happy Birthdayと綴った。

そう、今日は私の16歳のお誕生日！

と、そのとき、自動車が揺れた。

「お嬢様、申し訳ございません。お怪我はございませんか？」

「えぇ、大丈夫です。」

運転手にそう伝えて、もう一度ティーに目をおとす。

……え。

Happyが、消えている……。

今年のお誕生日は、幸せでは、無いの＿＿＿？

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