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永瀬はそっかと呟くと、また歩き出す
手が繋がれていて、彼が歩くと私も自然と前に進む
明かりのなかった道を抜けて、気がつけば駅にもうついてしまっていた
良いのか悪いのか、電車はあと5分後に来るらしくて、しばらくホームのベンチに座った
手はまだ繋がれたままで、意識すると変な気分になるから考えるのをやめた
そのまま、特に何かを話すわけでもなく電車に揺られ、学校の最寄りに着いてしまった
電車が違うので、永瀬と手が離れる
寂しい。
電車が来るアナウンスが流れる
「 平野 」
さっきまで無口だった永瀬が、口を開いた
「 明日も会えるよ 」
私は大きく頷いて、電車に乗った
窓から永瀬に手を振った
嫌だな、帰りたくない
永瀬とだったら世界が終わるまで一緒にいたいって思うのに
ずっと、お互いに見えなくなるまで手を振りあった
胸がキュッと締め付けられて苦しくなる
数時間ぶりにスマホを開くと、お兄ちゃんからの通知が溜まっていた
そのせいで、また、線が見えてしまって嫌になった
既読を付けて、返信はしなかった
電車が最寄りについて家までの道を歩く
余計なことは考えないでただ歩くことに集中した
家に着くと、案の定お兄ちゃんは心配したと私に怒っていた
･
「 Aちゃん！」
また、いつも通りの一日が始まった
相変わらず�盒兇�んは私に話しかけてくるけど、永瀬とはまだ一言も交わしていない
一日は淡々とすぎていった
なんとなく、私から話しかけるのを躊躇っていたらもう帰る時間になってしまっていたらしい
会えるよって言ったのは、そっちなのに、なんて
やけくそになりながら鞄に荷物を入れて席をたった時だった
「 A 」
時が止まった
永瀬に、名前を呼ばれた
教室のざわめきが嘘だったかのように静かになる
そりゃあそうだ。昨日まで全く関わっていない男女が、しかも普段男子から下の名前で呼ばれないような私が、あの人気者の永瀬廉に下の名前で呼ばれて、腕まで掴まれてしまっているのだから
『 廉 』
「 ん？」
『 .... 明日も会える？』
「 会えるよ 」
『 明後日は？』
「 会えるよ、死ぬまで会おう 」
『 うん、』
「 好きだよ、A 」
教室中のみんなが見ていた
私はとっくに彼の虜で、だから、もうそれ以外は何もいらない
世界に線が引かれる
2人と世界の間に、大きな線が引かれる
死ぬまでずっと、2人だけの世界で
fin.
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陽(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます（ ; ; ）どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです（ ; ; ）ありがとうございます、！ (2019年11月23日 14時) (
レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました！嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…！今回の甘味も切なくて素敵でした！これからも頑張ってください！ (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽 | 作成日時：2019年8月29日 0時
