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『 ねえ 』
「 ん？」
『 なんでいるの？』
今1番の謎を彼に問いかけると、彼は迷う素振りも見せずに淡々と答えた
「 家がこの辺やねん 」
嘘だ。
さっき降りた駅の近くに花屋なんてなかったし、すれ違う人もお年寄りばかりで綺麗なお姉さんなんていそうになかった
『 嘘だね 』
「 平野、俺ん家知らんやろ 」
『 しらないけどわかるよ 』
「 ふーん、理由は？ 」
『 花屋なんてなかったから、あの駅 』
永瀬廉は、聞いてたん？と俯くように笑った
猫は相変わらず私の隣にいる
「 本当のこと言うとな 」
『 うん 』
「 追いかけてきた、平野のこと 」
跳ねる
心臓が、信じられない速度で動き出す
彼は私の目を逸らさない
色素の薄い、私の真っ黒な目とは違う綺麗な彼の瞳に私が映るのがわかる
「 ..... なんか言ってや笑 」
目を合わせたまま、彼が笑う
なんて言えば、なんて言えば伝わる？
好きとか、嫌いとか、そういう、向こう側のアイツらが言う言葉なんかよりもっと特別な
『 永瀬 』
初めて彼に向けて名前を呼んだ
彼が私のことを平野って呼ぶから、私は彼のことを永瀬って呼ぶことにした
『 帰ろう 』
永瀬は頷いて立ち上がった
猫はミャーミャーと鳴きながらお別れを寂しがってくれてるみたいだった
また来るね、と伝える
来た道を引き返す
永瀬が私のちょっと先を歩く
緊張しているのか、リュックの紐を思いっきり下に伸ばしていた
後ろから見るとリュックがものすごく上に上がっていて面白かったから、彼の隣に小走りで向かった
風が私と永瀬の間を空気も読まずに通る
私より背が高い彼を見上げながら、整った顔を目、鼻、口、と追うと、彼は恥ずかしそうになんかついてる？と私に聞いた
『 んーん、ついてない 』
私がそう返した時、手の甲が触れた
その感覚がどうにも擽ったくて少し距離を取ろうと、ちょっと左にずれると、ふいに手が生暖かく包まれる
「 なあ、平野 」
『 何？』
「 海人のことどう思ってるん？」
『 どうも思ってない 』
「 じゃあ、俺は？」
ギュッと心臓が掴まれて、思考が止まる
正解がわからないと、口から言葉も出ない
『 ........ 明日も会いたい、って思う 』
やっと出た言葉は、彼の質問とは少しズレていたような気がしたけど、もうこれが精一杯だから許して欲しい
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陽(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます（ ; ; ）どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです（ ; ; ）ありがとうございます、！ (2019年11月23日 14時) (
レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました！嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…！今回の甘味も切なくて素敵でした！これからも頑張ってください！ (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽 | 作成日時：2019年8月29日 0時
