息をする ページ21
.
朝、昼、晩
ちゃんとご飯を食べること。
絶対に、午前中には起きて日付が変わる前には眠る。普通の生活をする。人間らしい生き方でいる。
しょうさんとのお約束。
これだけ守れば、わたしはしょうさんと一緒に居られる。
朝、目覚めて窓を開けると隣で寝ていたしょうさんが「眩しい...」なんて言いながら起きてくる。わたしの頭を撫でてそれからなんとも愛おしい顔でおはようと一言。あまりにも優しい声で話すからなんだか少しさみしいきもちになる。なんでだろうなあ。隣にはちゃんとしょうさんがいるのに。
「Aちゃん、朝ごはんを食べましょう」
「はい、ふふ、しょうさん寝癖」
「え〜どこどこ、教えて」
「いや、可愛いから、教えない」
「意地悪やなあ〜教えてよお〜」
うしろのほうがちょこんってなってて、とても可愛らしい。指さして寝癖の位置を教えると、しょうさんは嬉しそうにそこを押えて笑う。
なんとも愛くるしい。みんながだいすきなしょうさんの笑顔。
たまに出る、しょうさんの関西弁が好きだ。しょうさんは、全然エセだって言うけれどそんなのなんでもいい。しょうさんがつかえば本物だし、しょうさんの話す関西弁だけが好きだ。こう見えてもしょうさんのことをわたしはとても気に入っている。性別とか、そんな薄っぺらい人間の違いなんて関係なく好きだ。とても特別に思う。
それから、一緒に朝ごはんを食べた。今日の起床は8時で、しょうさんは10時からお仕事らしい。今日も一日しょうさんが無事であるようにお天道様にこっそりお願いする。
ただいまが言えて、おかえりが聞こえる。今日もそうであって欲しいと追加でお願いした。
9時30分。家のインターホンがなるとしょうさんを迎えに1台の大きめの車が来た。しょうさんはわたしの頭を優しく撫でると、「いってきます」と言って靴を履いた。わたしは「いってらっしゃい」と声をかけて手を振る。それから、家の中にはわたし1人だけになってしまった。
1人になったからと言って、呑気にお昼寝したりはしない。ちゃんと洗濯物を外に干して、お部屋に掃除機をかける。トイレの掃除とお風呂の掃除が終わったところでやっと一息ついてソファに座った。
レコーダーとテレビの電源をつけて、昨日の録画しておいた音楽番組を流す。
最近新しくして、画質が前より綺麗になったテレビの中には紛れもなく朝ごはんを一緒に食べたしょうさんが生きていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます（ ; ; ）どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです（ ; ; ）ありがとうございます、！ (2019年11月23日 14時) (
レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました！嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…！今回の甘味も切なくて素敵でした！これからも頑張ってください！ (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：陽 | 作成日時：2019年8月29日 0時
