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「 ほんまに?」
『 .... うん 』
真に受けんなよばか、って、冗談だよって、そうやって言えばよかったのに
言わなかった、いや、言いたくなかった
だって、好きだし、廉のこと
「 .... なんや、そっか 」
廉はそう言うと私の手をパッと掴んだ
痛いくらいに心臓が潰れる
『 離して、廉 』
「 なんで 」
『 だめだよ、気づいてるでしょ 』
「 やって好きやし、Aのこと 」
分かってるから、それ以上言わないで欲しい
理由はないんだよ、廉
分かってるじゃん、これはもう私たちには変えられない定義であって、絶対なんだよ
「 俺、Aのこと姉弟なんて思ったことない 」
言わないで欲しかったのに
言うって、分かってたけど
『 だめなんだよ、廉 』
「 そんな泣きそうな顔で言われても説得力ない 」
『 離して 』
「 嫌や 」
『 廉、 』
頑なに手を離そうとしない廉と、離して欲しい私
傍から見たらどんな関係に写ってるんだろう
恋人なんかに見えちゃってたら、やだな
「 同じ家、帰らなあかんの、嫌 」
結局私が折れて、そのまま手を繋いで帰った
ずっとドキドキしている心臓を酷く憎んだ
私なんかの、この気持ちさえ悟られなければよかったのに
『 わがままだね 』
「 Aは思わないん?」
『 思わないよ 』
「 嘘や 」
『 本当だし 』
嘘をつくのは得意だ
1歩引いて周りを見てから、その場に適応した答えを出すのが私のやり方だから
さっきは少し感情的な気持ちになりすぎた
廉の毒に侵されるのはもう十分だ
『 廉、あのさ 』
「 ん?」
『 私、廉と姉弟以外の関係になるつもりない 』
「 ...... おん 」
『 ごめんね 』
「 ..... 分かっとったから謝らんといて 」
『 一応言っとくけど、その、好き、だから廉のこと 』
「 俺も大好きやで、A 」
お互いの目から雫が流れる
綺麗な廉の目から涙がボロボロと溢れる姿は、まるで天気雨みたいだった
高一の秋
まだまだ暑さの残る、放課後午後5時
私と廉は両思いになった
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陽(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます( ; ; )どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです( ; ; )ありがとうございます、! (2019年11月23日 14時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました!嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…!今回の甘味も切なくて素敵でした!これからも頑張ってください! (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽 | 作成日時:2019年8月29日 0時