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階段を2人でおりて、両親におはようと声をかける
あくまで私達は姉弟だ
というか、廉は私が廉のことを好きだということに気づいていないかもしれない
それならいいな。辛いのは私だけでいい。
2人で朝食をとり、同じ中身のお弁当をバックに入れて2人で家を出る
最寄までは道が同じなので、2人で並んで歩く
廉が私の影をふむから、私は廉の足を踏んでやった
「 は!?痛ァ!」
痛がる廉があまりにも面白くて、大声で笑うと廉は優しそうに笑った
思わず、きゅんとして目を逸らした
『 はー、面白かった 』
「 ほんまに容赦ない 」
毎朝こんな感じ
2人の距離感が変わったことはなくて、近づきたいのに遠くにいなくてはならない複雑な感情が私と廉の間に通った風に流される
「 今日俺部活ないから駅から一緒に帰らん? 」
『 わかった、改札で待ってるね 』
それから、いつも通りに一日を過ごす
廉に、授業中だいたいAのこと考えてる、なんて言われてからは私も無意識に彼のことを考えるようになってしまった
廉の毒は恐ろしい
苦いのに、全部飲み込みたくなるから急いで吐き出すような、そんな毒
友達と別れ家の最寄まで1人で電車に揺られる
何にも囚われないこの時間が案外好きだったりする
「 A!」
廉が私の方を見て手を振る
私が手を振り返すと、廉はこちらに走ってきて私の隣に立った
『 おつかれ 』
「 おん、おつかれ 」
それからたわいもない話をして家までの道を歩く
廉の担任の先生がガチギレしただとか、今日体育で私がシュートをいれただとか、そんな話
「 だから、好きなん?そのショウってやつ 」
ショウ、とは私の隣の席の紫耀くんのことだ
廉は私が紫耀くんの話をすると決まって機嫌を損ねる
まあ、理由は分かってるんだけど
『 友達としては好きだよ?』
「 ふーん 」
『 何?』
「 いや、俺以外の男とAが喋るんいややなーと思っただけ 」
ばか。言わないでよ、そういうこと
『 .... 嫌なら喋らないけど 』
「 は 」
『 廉が嫌なら喋らないってば 』
特に何も考えないで放ってしまった一言に、あとからすぐに後悔した
超えていけないラインを自ら越えようとするなんて。
本当におかしい。
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陽(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます( ; ; )どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです( ; ; )ありがとうございます、! (2019年11月23日 14時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました!嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…!今回の甘味も切なくて素敵でした!これからも頑張ってください! (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽 | 作成日時:2019年8月29日 0時