群青に追われる

吐露 ページ12

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お母さんが再婚した
別に、親にそれほど関心がなかった私にとって再婚なんて反対する気も起きないほどどうでもよかった


「 おはよう、かわええな 」


こいつを除いて、の話だが。


永瀬廉。
それが彼の名前で、私と同じ名字
もちろん血なんかは繋がっていないけど、戸籍の上では家族であり、姉弟だ


廉の方が私より2ヶ月年下
急に姉弟になると言われた割には、全然抵抗なんてなくて、へー、と何も思わなかった


『 おはよう、毎日懲りないね 』

「 懲りないとかの話やないもん 」


廉は、容姿端麗で成績優秀、おまけにサッカー部のエースなんかをやっちゃうような男の子で
私が今まで付き合ってきた、中流くらいの男の子たちとは桁違いにモテる


「 毎日ほんまにかわええなあって思うんやって 」


おかしいのだ。
そもそもの話、私と廉は姉弟のはずであって、超えちゃいけないラインをちゃんと区別しなくてはならない
彼は本当にそれを知っているのだろうか
いや、あの進学校に通っていて知らないわけがない


おかしい。
そんな彼に少なからず、ときめいてしまっているのが本当におかしい


『 そ 』

「 ちょっと照れたやろ？」

『 さあね 』

「 ははっ、照れたんや 」


愛おしそうに私を見つめるその目
やめて欲しい。こっちの気が狂う


『 遅刻するよ 』

「 せやなあ 」


ノーセットの髪、色素の薄い茶色の瞳、あまりにも整いすぎた顔
それなのに少し高い声とか、口いっぱいにご飯を詰め込むとことか


わかっている。
もうとっくに、私の心に彼がいることは


「 Aと同じ学校ならええのに 」


跳ねた心臓を憎む
私に、周りの世界とのズレを産むような勇気はない
本能的に動くなんて私にはできない


『 無理でしょ 』


彼のお父さん、もとい私のお義父さんは病院の医院長なのだ
だから廉も、周りとのズレを産むことはできない


「 無理、やな 」


ほらね、私達は両思いなんかにはなっちゃいけないんだよ

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