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お兄ちゃんは誰にでも優しい
もちろん私に対してもだし、近所のおばあちゃんたちにも、学校の子達にも無条件に優しい
だから、お兄ちゃんは毎日違う女の子を家に上げる
それがすごく嫌だった
別に、お兄ちゃんが女の子を家に上げていることが嫌なわけではない
もちろん私には、近親相関なんて特殊能力みたいなものは備わっていないし、お兄ちゃんに対しても�盒兇�んと同じように、好意も敵意も持っていない
お兄ちゃんに連れられて来る子は決まって、嬉しそうな顔でお兄ちゃんの隣を歩いて、幸せそうな顔で 紫耀 と呼ぶ
それがとてつもなく嫌だった
痛々しくて、見ていられなかった
ただ、線がある
世界には、私と彼らの間に引かれた決定的な線がある
今日は家に帰るのはもう少し遅くなってからにすることにした
そう距離のない学校から駅までの道なんて直ぐについてしまって、さっきの波はバラバラになる
いつも乗る上りの電車の反対のホームで電車を待った
「 やから！家の最寄りの近くの花屋の店員さんがめっちゃ美人なんやって！」
聞き覚えのある声
別に聞こうとして聞いたわけでは無くて、必然的に聞こえた
永瀬廉のタイプは年上か。いや、別になんでもいいけど
上りの電車と違って、少ない本数の下りの電車にはほぼうちの学校の生徒なんていなくて、割と頭の良い方に分類されるうちの学校の生真面目な制服は自分でも分かるくらいに浮いていた
その違和感が妙に心地よかった
本来、浮かされてもおかしくない人間だからかもしれない
電車に揺られながら、やることもなくその違和感を楽しむように問題集を開いた
もともと私なんかは勉強に向いていなかったけど、お兄ちゃんと違う高校に生きたくて勉強した
ああ、そっか
私は、お兄ちゃんが嫌いなのかもしれない
全ての辻褄が合ってしまって、もう問題集を解く必要はなくなってしまった
そっと、問題集を閉じて窓の外を眺める
全然知らない地名の駅と、一面に広がる田んぼ
何駅下ったかなんてわからないけど、物思いにふけるように長いこと電車に乗っていたように感じる
ここは、全然息苦しくない
私を知っている人なんかこれっぽちもいなくて、線なんてもの存在しないのだろう
いいな、線の向こう側の彼らの棘みたいな優しさなんかより何倍も優しいじゃないか、ここは
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陽(プロフ) - だださん» わあああ、ありがとうございます（ ; ; ）どのお話も綺麗なハッピーエンドに出来なくて申し訳なく思ってたのですが、お言葉とても嬉しいです（ ; ; ）ありがとうございます、！ (2019年11月23日 14時) (
レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
だだ(プロフ) - 更新心待ちにしておりました！嬉しいです(;-;)陽さんの書く切ないお話がとっっっても好きで、毎回胸を締め付けられます(;-;)全部好きなんですけど、特に飛翔のなんとも言えないむずむずが最高でした…！今回の甘味も切なくて素敵でした！これからも頑張ってください！ (2019年11月23日 10時) (レス) id: f8fe4bbe58 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - 霞草さん» こちらこそありがとうございます(; ;) (2019年11月1日 20時) (レス) id: 4f815a03de (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - すごく好きです。丁寧な文章と、温かい確かな記憶がとても素敵でした。感動をありがとうございました。 (2019年10月30日 22時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽 | 作成日時：2019年8月29日 0時
