あなたの隣にいたいのです【大橋和也】 (ページ20)

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緊急事態発生ページ20

西畑「Aちゃん」

A「はい？」

西畑くんが単独で出演する番組の収録へ向かう途中、バックミラー越しに軽く睨まれる。

西畑「昨日の昼間カフェおったやろ」

A「いました」

西畑「俺近くで買い物しててん。知念くんと。」

A「そうだったんですか？声掛けてくださいよ」

西畑「やって男の人とおったやん」

A「あー…」

西畑くんが言っているのは恐らく山本さんのこと。

西畑「誰なん？」

A「知り合いです」

西畑「知り合い？友達とかじゃなくて知り合い？」

A「うーん…知り合いですね」

西畑「そんな浅い関係なん？」

A「はい」

西畑「ふーん…ならええよ！」

コロッと表情を変えて笑顔になる西畑くん。

何が良くて何が悪いのかよく分からないけれど、機嫌を直したらしい。

楽屋に着くと、西畑くんが大きく伸びをして椅子に腰掛けた。

西畑「…眠い」

A「頑張ってください」

西畑「これ終わったら何やっけ？」

A「移動、道枝くんと合流、収録の流れです」

西畑「きっつー…」

大欠伸をする西畑くん。

西畑「…そういえば」

A「はい」

西畑「…聞いたらあかんかもしれんけど」

A「…何ですか？」

西畑「結構前やけどさ、Aちゃん首にキスマつけてたやん」

A「え…」

藤原くんの言う通り、西畑くんには見えていたらしい。

西畑「…ああいうのってさ、女の子って嬉しいもんなん？」

A「いや…人によるんじゃないですか？」

西畑「ふーん…Aちゃんは？」

A「え…私は別に」

西畑「でもつけてたやん」

何も言い返せない私に西畑くんは危険な笑みを浮かべる。

西畑「俺にもつけさせて…って言ったらどうする？」

A「え…」

西畑くんが立ち上がりかけたその時、ポケットのスマホが震え始めた。

A「すみません、電話です」

私は慌てて楽屋の外に出る。

あんな意地悪な西畑くんは初めて見た。

そう思いつつもスマホを見ると、他のマネージャーさんの名前が表示されている。

A「もしも…」

マネージャー「緊急事態発生！大橋くんが病院行くことになった！」

A「え？」

マネージャー「今こっちロケしてて、途中で頭ぶつけて…」

A「頭！？」

一気に血の気が引くのが分かった。