あなたの隣にいたいのです【大橋和也】 (ページ17)

今日:63 hit、昨日:10 hit、合計:119,947 hit

大丈夫ページ17

大橋side

撮影までの空き時間、俺はソファで横になることに。

藤原「大丈夫か？」

大橋「うん、大丈夫やで」

不安そうにこちらを見る丈くん。

熱があるだなんて自分でも気が付かなかった。

不思議なことに、数字を見た途端に体が重く感じて気分が悪くなった。

長尾「大橋くん大丈夫っすか…？」

道枝「ゆっくりしてください」

ひょっこりとドアから顔を出す道長に頬が緩む。

最年少コンビは今日も可愛い。

大橋「ありがとう」

仕事に穴を開ける訳にはいかない。

ましてやファンクラブ用の動画撮影。

楽しみにしている人が沢山いる。

A「お待たせしました！」

Aが俺の傍に屈む。

A「解熱剤と冷えピタとポカリ買ってきました」

大橋「ありがとう…」

藤原「何かお腹に入れた方がええんちゃう？」

A「と思って缶詰のフルーツとレトルトのお粥も買ってきました」

藤原「うちのマネージャーは有能やなあ」

A「プリンもありますよ」

大橋「プリン…」

Aが買ってきてくれたものを食べ、薬を飲んだ。

おでこに冷えピタを貼ってまた横になる俺をAが覗き込む。

A「辛いですよね。明日の午前中のスケジュール来週に動かしたので撮影が終わったらゆっくりしてください。」

皆が皆"大丈夫？"と聞く中でAだけは違った。

大丈夫かどうか問われれば大丈夫じゃなくても"大丈夫"と答えるしかない。

Aはそれを分かっているから。

藤原「俺も向こうで飯食ってくるわ」

メンバーが別室で自由時間を過ごす中、ずっと付き添ってくれていた丈くん。

大橋「うん…ほんまにありがとう」

丈くんが部屋を後にし、唐突にAと2人きりになる。

大橋「…A」

A「はい？」

大橋「…何喋ってたん？」

A「えっ？」

大橋「さっきスタッフさんと。」

A「あ～…」

Aが目を逸らす。

A「…どうしてそんなこと聞くんですか？」

大橋「何となく。気になったから。」

A「関係ないですよ、大橋くんには。」

そんなことは分かりきっている。

少なくとも頭では。

だけど俺の心は苦しいほどに締め付けられて痛い。

ハッキリと言葉で"関係ない"と言われてしまうのがこんなにも辛いだなんて。

ズキズキと痛む胸を抑えながら俺は深呼吸をした。

大橋「…もう潮時やな」

A「…え？」

大橋「俺ら…もう潮時やろ。」

自ら関係に終止符を打った。