中途半端な人間 ページ8
脳内で鳴り響いていたはずの危険信号を感じなくなってきた。
それは安全圏に入ったのではなく、ただ単に麻痺してしまっているだけのこと。
彼は私に魔法をかける。
都合の良いものしか見せないように。
私は自らその魔力に溺れている。
同じく、都合の良いものしか見たくないから。
1度胸に抱いてしまえば取り消すことのできないその気持ちは、私の心をこれでもかと言わんばかりに締め付ける。
自分から連絡先を欲しがったのに"会いたい"とは言えない。
寂しそうにはできるのに"寂しい"とは言えない。
私は中途半端な人間―
福本「ここどうします?」
A「あー…全体のバランス見て決めよか、」
福本「分かりました」
締切直前の残業。
心身共に疲労のピーク。
時計の針が指すのは23時。
日付が回る前の帰宅は叶わない。
1つのパソコンを囲んで資料と睨めっこする私と福本くん。
思い返せば2人きりになるのは初めて。
A「…福本くんって」
福本「はい」
A「あー…ごめん、何もない」
無駄話をしている暇はない。
福本「何ですか?言ってくださいよ」
A「何もないって」
福本「気になるっすやん!」
A「しつこい」
スマホが鳴った。
期待で心音が早まる。
マウスを握る福本くんから手元のそれに視線を移す。
期待は裏切られることなく、"末澤誠也"の文字が目に入った。
今見たら駄目だ。
きっと仕事に集中できなくなってしまう。
やけに喉が渇く。
先程水筒が空っぽになったことを思い出して立ち上がった。
A「飲み物買ってくる」
福本「あ、はい!」
A「…お茶?水?」
福本「え…あ、僕ですか?」
A「他に誰もおらんやん」
福本「あ、じゃあ…お茶で」
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わさび醤油(プロフ) - そるとさん» ありがとうございます!とても嬉しいです…完結まで是非よろしくお願いします。 (2022年10月1日 9時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - わさび醤油さんの小説とても好きです。綺麗な文体でどの場面も不自然なく想像しやすくて。キュンとしたり苦しかったり…今回の作品も更新楽しみにしております! (2022年10月1日 1時) (レス) id: 09fd0b4eab (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。完結までお楽しみ頂けると幸いです! (2022年9月18日 8時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 新作楽しみにしていました。今作も最後まで応援しています。 (2022年9月17日 21時) (レス) @page18 id: 5405f5cefd (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - イルさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。これからも更新頑張りますので、最後まで読んでいただけると幸いです。 (2022年9月14日 2時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わさび醤油 | 作成日時:2022年9月5日 4時