普通の人 ページ34
依存とは、そのものによって成り立っていることを指す。
つまり他の何かでは代用できない。
誰かが代わりを務めることなんてできない。
小島くんと時間を共有する度にその事実を深く認識する羽目になった。
小島「また余計なこと考えてるやろ」
彼を"利用"することにも慣れてきた今日この頃。
私はまだ誠也くんのことを忘れられてはいない。
A「…別に」
溜め息が響く。
小島「アホやなあ」
そんなことはとうの昔に分かっている。
小島「逆に見てみたいわ、その男。」
事実として私と誠也くんはまだ会い続けている。
頻度は減ったものの、共に過ごす時間の密度は変わらない。
私の心だって何1つとして変わっていない。
だけど以前より少しばかり楽なのは、小島くんという存在があるからだろうか。
小島「どんな人なん？」
社外では敬語を使わなくなった小島くん。
人見知りだと思っていたけれど、懐に入り込むのは上手いらしい。
A「普通の人」
小島「普通ちゃうやろ」
A「え？」
視線を上げた先に整った呆れ顔があった。
小島「自分の都合で人のこと振り回してる奴のどこが"普通"やねん」
A「それは…」
俯いて床と睨めっこを始めた。
無機質な模様を視線でなぞっていく。
A「…私も人のこと言えへんやん」
自分の呟き声がやけに虚しく聞こえた。
妙な気まずさが生まれて少しの間沈黙が続く。
小島「…別にそれはええんちゃう？」
決して私から提案した訳ではない。
脳内ではそう分かっていても胸は痛む。
徐々に大きくなる罪悪感に蓋をする生活が続いていく。
それはあまりにも不毛であまりにも心苦しい。
その反面、申し訳なさを感じる度に自分が正常であることを認識してほっとしているのも事実。
他人を都合よく使うことに対して負い目を感じない誠也くんは、小島くんの言う通り"普通"ではないのかもしれない。
小島「…とにかく余計なこと考えるんやめた方がええで」
"余計なこと"。
私にとって彼の存在は、果たして本当に"余計"なのだろうか―
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わさび醤油(プロフ) - そるとさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…完結まで是非よろしくお願いします。 (2022年10月1日 9時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - わさび醤油さんの小説とても好きです。綺麗な文体でどの場面も不自然なく想像しやすくて。キュンとしたり苦しかったり…今回の作品も更新楽しみにしております！ (2022年10月1日 1時) (レス) id: 09fd0b4eab (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。完結までお楽しみ頂けると幸いです！ (2022年9月18日 8時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 新作楽しみにしていました。今作も最後まで応援しています。 (2022年9月17日 21時) (レス) @page18 id: 5405f5cefd (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - イルさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。これからも更新頑張りますので、最後まで読んでいただけると幸いです。 (2022年9月14日 2時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年9月5日 4時
