愛しの赤リップ(M.Y) ページ6
薄い唇に塗られた真っ赤なリップに目を奪われる。
A「あんま見んといて、穴開く」
普段はナチュラルメイクのA。
今日は撮影のテーマに合わせて少し濃いめの化粧を施している。
見慣れないその姿に戸惑いつつ、心の底から美しいと感じつつ―
どちらにせよ俺はAから目を離せない。
A「見すぎやって」
正門「ええやんかあ、」
アイドルというより、モデルさん？
そんな雰囲気を纏ったAはいつもよりずっと大人っぽくて色っぽい。
末澤「お、Aええ感じやん」
A「ほんまに思ってます？」
末澤「思ってるわ！」
誠也くんみたいにスマートに褒めてみたい。
だけどなかなかAに合う言葉が思い付かず、語彙力の乏しさがもどかしくなる。
草間「盛れてるやん」
A「リチャくんもめっちゃええ感じですねえ」
草間「…それほんまに思ってる？」
A「思ってますって！」
いつもより長めに引かれたアイライン。
涙袋で光るゴールドのラメ。
凛々しい眉毛とストレートヘア。
まだまだ俺の知らん顔があるんやなあ、なんて思ったりして。
小島「まっさんAに穴開けるつもりでおる？」
正門「え？」
福本「凝視やもんな、さっきから」
佐野「ちょっと怖いっすもん」
新しいAを知る度により一層愛おしさが増す。
もっと愛すべき一面がまだまだ隠されているのだと思うだけで幸せな気持ちになる。
知らないAを知りたくなる。
年下組の揶揄う声も気にならないくらいに夢中で―
A「まっさん」
正門「ん？」
A「…ほんまに恥ずかしいから見るんやめて」
正門「え〜？それは無理なお願いやなあ、」
頬を赤く染めて俯いたAはさっきまで俺を冷たくあしらっていたとは信じ難いくらい分かりやすく照れている。
末澤「イチャイチャすんなや！」
正門「してませんよ〜、まだ」
佐野「"まだ"！？」
どんなAを見ても美しいと感じ、どんなAを知っても愛おしいと感じるに違いない。
その確信が持てる幸せを噛み締めるようにゆっくりと微笑んだ。
正門「家帰ってからイチャイチャするんで安心してください」
末澤「うわー…聞きたないわ」
草間「俺も」
爆発寸前のAは耳まで真っ赤。
正門「A、ほんまに似合ってる」
A「…ありがと」
あーあ、はよ撮影終わらんかなあ。
Fin
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年9月23日 7時
