全部嘘(K.K) ページ7
乾いた唇を潤すようにキスをした。
A「…えっ？」
目を見開いてこちらを凝視するA。
俺がずっと恋焦がれてきた人。
A「何、今の」
混乱している様子のAが1歩後ずさった。
そんなに嫌？俺のこと。
A「…何で黙るん？」
もう1歩後ずさった。
そろそろ傷付くで。
小島「…好きとか言ったら引くやろ」
A「いやもう既に引いてる」
小島「ならええわ、好き」
A「え、何その言い方、え？」
パニックになる気持ちも十分に分かる。
今まで1度たりとも自分の気持ちを匂わせたことはなかった。
ずっと"恋愛"というカテゴリからかけ離れていた俺達の関係性。
たった1回のキスでそれが目まぐるしく変わっていくのだから、人間というのは面白い生き物だ。
A「…冗談？」
我慢の限界というよりは無防備すぎる横顔に腹が立った、という表現の方が正しい。
小島「冗談でほんまにキスする奴おらんやろ」
Aが隙を見せるのは俺だけだということは分かっている。
だけどそれは"友達"としての信頼であり、Aにとって俺が男だとか女だとかそんなことは無関係。
1年先輩で1つ年上。
何もかもが俺より先。
それに対する劣等感はないけれど、置いてけぼりにされているような寂しさを抱いて過ごしてきた。
同じグループのメンバーとして活動することが決まった時、やっと同じ土俵に立てるのだと歓喜したのを思い出す。
その時気付いた。
"友達"だとか"憧れ"以前にAが好きだということに。
A「…ほんまに？」
恐る恐る俺の顔を覗き込むA。
小島「疑い深いな」
A「こじけんすぐ嘘つくやん」
小島「え？」
A「"これ全部嘘〜"って」
あれはネタやん、と心の中でツッコミを入れる。
A「…こじけんってそういう感情あったんや」
小島「いやあるやろ、俺も人間やぞ」
A「私に対してあったんや、って話」
廊下から話し声が聞こえてきた。
それは別仕事から合流する他のメンバー達が到着してしまうことを意味する。
話を続けることを諦めた瞬間、Aがさっき後ずさった2歩分俺に近付いた。
A「私も好き」
小島「…っえ、」
福本「おはよー！」
扉が開いて続々と登場するメンバー。
一気に楽屋が騒がしくなる。
小島「ちょ、え、は？…今のガチ？」
A「さあ？"全部嘘〜"かも」
小島「ちょ、何やねんそれ」
福本「何？何の話？」
A「…内緒」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…これからも楽しんで読んで頂けると幸いです！ (2022年7月13日 1時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 一話完結型の短編集でこんなにもどのお話も楽しく面白いなと感じたのは初めてでした❤︎お忙しい中、たくさん更新してくださり毎回更新されるのが楽しみでした(^^)また続編も今から楽しみにしています❤︎ (2022年7月12日 23時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて幸いです。そしてリクエストもありがとうございます！更新まで暫くお待ちください！ (2022年6月24日 12時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 小島くん、大晴くんがメインのストーリーリクエストさせて頂きたいです❤︎お忙しいとは存じますが、更新楽しみにしています(//∇//) (2022年6月24日 0時) (レス) id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - コメント失礼します。紅一点設定大好きで、わさび醤油さんが書かれるお話や設定、展開がとても素晴らしくて楽しく一気に読ませて頂きました❤︎どのお話も好きなのですが、特に小島くん、大晴くんのお話にきゅんとしました❤︎ (2022年6月24日 0時) (レス) @page16 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年6月15日 0時
