パズルのピース(O.K) ページ38
大橋「A、今日終わったら鍋せえへん？」
A「あー…疲れてるしまた今度」
何故だろう。
最近、無性にAが冷たいような気がする。
大橋「明後日オフやろ？そん時にでも…」
A「ごめん」
一体何が"ごめん"なのか理解できず、俺はただただ戸惑うことしかできない。
Aは小さく溜め息をついて微かに瞬きを繰り返した。
A「もう部屋行き来すんのやめへん？」
CDデビュー以来ずっと続いているホテル暮らし。
同じホテルに泊まったり泊まらなかったり、転々とする中で俺とAは時間とタイミングさえ合えばどちらかの部屋で食事や会話を楽しんできた。
大橋「…何で？」
それは俺にとっての癒しであり、忙しない日々の中で見つけた最大の楽しみ。
突然なくなってしまうだなんて耐えられない。
Aを好きになって早1年。
だけどあくまで一方的な片思い。
男女とはいえ、俺らはただのメンバーでしかない。
互いの部屋で何度2人きりになろうとも、一切何も起こらないのだから。
だけどそれでも良いと思ってた。
愛されたい訳じゃない。
ただAの傍にいたいだけ。
それすらも叶わないだなんて、俺が何かしてしまったのだろうか。
Aは黙ったまま何も言わない。
最悪のパターンが思い浮かんだ。
Aに恋人ができてしまったのではないかと。
大橋「…ごめん、何か俺…無神経なこと聞いた？」
その可能性を脳内から排除しきれないままヘラヘラと笑ってみせた。
大橋「大ちゃん誘ってみるわあ、」
苦しくて苦しくて、報われない気持ちが粉々になっていく。
A「ほらやっぱり」
大橋「…えっ？」
俯き気味の横顔は暗い。
A「暇潰せるんやったら誰でもええんやろ？」
声が震えている。
A「そんなん辛いだけやもん、私」
つまりそれは―
A「好き…やのに」
ああ、どうしよう。
ついさっきバラバラになったはずの恋心が猛スピードで再構築されていく。
それはまるでパズルのピースのように。
大橋「…トマト鍋かキムチ鍋か豆乳鍋、どれが好き？」
A「え？」
大橋「俺は何でもええよ」
A「…はっすん話聞いてた？」
Aの眉間にシワが寄った。
それすらも愛おしいと思えてしまうほどに焦がれている。
さあ、最後のピースを当てはめよう。
Aの傍にいる為に。
大橋「…俺も好きやで、A。」
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…これからも楽しんで読んで頂けると幸いです！ (2022年7月13日 1時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 一話完結型の短編集でこんなにもどのお話も楽しく面白いなと感じたのは初めてでした❤︎お忙しい中、たくさん更新してくださり毎回更新されるのが楽しみでした(^^)また続編も今から楽しみにしています❤︎ (2022年7月12日 23時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて幸いです。そしてリクエストもありがとうございます！更新まで暫くお待ちください！ (2022年6月24日 12時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 小島くん、大晴くんがメインのストーリーリクエストさせて頂きたいです❤︎お忙しいとは存じますが、更新楽しみにしています(//∇//) (2022年6月24日 0時) (レス) id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - コメント失礼します。紅一点設定大好きで、わさび醤油さんが書かれるお話や設定、展開がとても素晴らしくて楽しく一気に読ませて頂きました❤︎どのお話も好きなのですが、特に小島くん、大晴くんのお話にきゅんとしました❤︎ (2022年6月24日 0時) (レス) @page16 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年6月15日 0時
