曇りのち晴れ(S.S) ページ36
"好き"の安売りはしない―
そう思っていた。
つい昨日までは。
毎月発売される雑誌のインタビューで"毎日好きって言われたいです"と答えていたA。
それは俺にとってかなり意外な発見だった。
A「おはようございまーす」
別仕事から合流したAが楽屋に入ってきた。
一瞬目が合ってすぐに逸らされる。
小島「A明日暇？」
A「めちゃくちゃ忙しい」
小島「嘘つけ、絶対暇やん」
福本「俺ら飯行くからAも行こーや！」
A「残念ながらほんまに予定あんねん」
明日はAと2人で日帰り旅行に出かける日。
小島「何するん？」
A「秘密〜」
俺らの関係は誰にも話していない。
唯一リチャだけが自ら察して俺に声をかけてきただけ。
小島「何やねんお前、怪しいな」
A「別にええやんか何してても！」
小島と戯れるAの背中を眺める。
愛情表現を怠っている訳ではない。
ただ"好き"の価値を落としたくないだけのこと。
それはきっとAも分かってくれているはず。
もしかしたら何気なしに答えただけかもしれない。
そこには深い意味なんて存在しないのかも。
だけどやっぱり、何となく心の隅に引っかかって仕方がない。
福本「こじけんあんましつこいとほんまにキレられるで」
小島「こいつがキレても何も思わんわ」
正門「そういう問題ちゃうと思うで、こじけん」
例えば大晴なら毎日"好き"と言えるのだろうか。
小島なら？正門なら？
メンバーと比較すること自体おかしいと思いつつ、ついついそんなことを考えてしまう。
A「あ〜ほんま腹立つわ小島」
そう言いつつニヤニヤしているA。
もしかしたらAは他の人と結ばれた方が幸せになれるのではないか―
なんてネガティブ思考が巡るのは今朝のどんよりした曇り空のせいだろうか。
A「あっ！それ私のジュース！」
小島「サンキュー」
A「"サンキュー"ちゃうねん！」
明日は晴れるとええな。
天気も、俺の心も。
正門「それ何味なん？」
A「何かよく分からんけど新作」
小島「あー、微妙やわこれ」
A「何やねん！返せ！」
毎日は言えなくても、顔を合わせた時くらいは口にしてみよう。
少なくとも明日、旅先で必ず伝えよう。
Aが"好き"だと。
帰路に着く頃には雲が流れ、太陽が遠慮がちに顔を覗かせていた。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…これからも楽しんで読んで頂けると幸いです！ (2022年7月13日 1時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 一話完結型の短編集でこんなにもどのお話も楽しく面白いなと感じたのは初めてでした❤︎お忙しい中、たくさん更新してくださり毎回更新されるのが楽しみでした(^^)また続編も今から楽しみにしています❤︎ (2022年7月12日 23時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて幸いです。そしてリクエストもありがとうございます！更新まで暫くお待ちください！ (2022年6月24日 12時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 小島くん、大晴くんがメインのストーリーリクエストさせて頂きたいです❤︎お忙しいとは存じますが、更新楽しみにしています(//∇//) (2022年6月24日 0時) (レス) id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - コメント失礼します。紅一点設定大好きで、わさび醤油さんが書かれるお話や設定、展開がとても素晴らしくて楽しく一気に読ませて頂きました❤︎どのお話も好きなのですが、特に小島くん、大晴くんのお話にきゅんとしました❤︎ (2022年6月24日 0時) (レス) @page16 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年6月15日 0時
