告白の返事(N.D) ページ22
Aと2人でドライブなんていつぶりだろう。
久しく助手席に乗せていなかったような気がする。
デビューして以来、大阪から離れて東京で活動することが増えていった。
慣れないホテル暮らし、目まぐるしいスケジュール。
それによって蓄積されるストレスや疲労。
A「大吾くんの運転久々ですね」
Aは疲れを見せない。
仕事中も、プライベートでも。
それはプロ意識なのか、それとも俺に気を遣っているのか。
西畑「せやなあ、」
A「YouTubeの撮影以来や」
遠くに見えるサンセットビーチ、そして水平線。
少しだけ窓を開ければ風に揺れるAの前髪。
Aは俺より後輩で、5つも年下。
それなのにやけに大人っぽく感じるのは、弟や妹が沢山いる長女として育ったからだろうか。
A「海綺麗、」
赤信号。
ブレーキを踏んでふと左側に目をやる。
スモーキーブラウンのアイシャドウとラメが瞼に光った。
西畑「…綺麗やなあ、」
それが何に対して向けられた言葉なのかは自分でも分からなかった。
A「…大吾くん」
Aの声はいつだって甘い。
しつこいくらいに耳元で響き渡る。
西畑「…ん？」
青信号。
Aの表情は見えない。
A「私もう20歳ですよ」
分かってる。
そんなことはとうに。
A「ずっと待ってるんですよ」
それも分かっている。
Aが俺のことを好きだと言った3年前から、俺はずっとAを待たせ続けている。
運が良いのか悪いのか、暫く信号に引っかかることなく道を進んでいく。
A「…"20歳になったら"って言ったん大吾くんですよ、」
勿論覚えている。
あの頃のAは俺にとってまだまだ幼かった。
だけど今は―
A「私、大人ですよ」
赤信号。
すぐに左を向いた。
だけどAは真正面を見ている。
赤く染められた頬。
それが夕日のせいか否かなんて、考えずとも明白だった。
A「大吾くん、」
一途に俺だけを思い続けてきたA。
気持ちを枯らすことなく、ずっと。
A「私、大吾くんが好きです」
3年越しのその言葉。
何だか少し懐かしく感じた。
西畑「…A」
青信号。
再び前方をむく。
西畑「…お待たせ、」
ちょっぴりクサい言い回しだけど、それが俺にとって精一杯の告白の返事。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…これからも楽しんで読んで頂けると幸いです！ (2022年7月13日 1時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 一話完結型の短編集でこんなにもどのお話も楽しく面白いなと感じたのは初めてでした❤︎お忙しい中、たくさん更新してくださり毎回更新されるのが楽しみでした(^^)また続編も今から楽しみにしています❤︎ (2022年7月12日 23時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて幸いです。そしてリクエストもありがとうございます！更新まで暫くお待ちください！ (2022年6月24日 12時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 小島くん、大晴くんがメインのストーリーリクエストさせて頂きたいです❤︎お忙しいとは存じますが、更新楽しみにしています(//∇//) (2022年6月24日 0時) (レス) id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - コメント失礼します。紅一点設定大好きで、わさび醤油さんが書かれるお話や設定、展開がとても素晴らしくて楽しく一気に読ませて頂きました❤︎どのお話も好きなのですが、特に小島くん、大晴くんのお話にきゅんとしました❤︎ (2022年6月24日 0時) (レス) @page16 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年6月15日 0時
