誌面と現実(M.S) ページ21
Aちゃんが単独で掲載されている雑誌を買った。
事前に知らされてはいたもののすっかり忘れており、発売日当日に偶然本屋で見かけてそのままレジへ。
大橋「お、みっちーそれ買ったん？」
道枝「あ、さっき本屋で見かけたんで」
ニコニコと嬉しそうな大橋くんが手元の紙袋から全く同じものを取り出す。
大橋「お揃いやなあ」
2人で腰掛けてページを開いた。
目次に記されているその数字まで5、4、3、2―
大橋「あった！」
それはほぼ同時だったと思う。
大橋くんが声を上げたのと、俺が息を飲んだのと。
そこには今まで1度も見たことのない姿で堂々とポーズを決めるAちゃんがいた。
ショート丈のTシャツ。
その裾から覗くおへそ。
そして―
大橋「…これどっち？」
道枝「えっ？」
大橋「下着？水着？」
そんなこと俺に聞かないでほしい。
分かる訳もなく頬だけが熱くなっていく。
A「おはよー！」
長尾「おはよーございまーす！」
勢いよく開いた扉から2人が入ってきた。
A「何してるん？」
多分、俺と大橋くんは相当間抜けな顔をしていたと思う。
A「…あ！それ買うてくれたん！？」
道枝「あ…はい」
誌面とは全く違って元気いっぱいの明るいAちゃん。
本当に同じ人物なのか？と疑ってしまうほどのギャップ。
大橋「何でこんな急に脱ぐ〜ん？」
A「そういうテーマやったんやからしゃあないやん」
長尾「えっ！？これAちゃん！？」
俺から取り上げた雑誌を見て"すげー！"とはしゃぐ長尾。
艷めくワインレッドの唇と湿った毛先。
白い肌と甘美な表情。
こんなの、俺らが知ってるAちゃんじゃない。
それなのに大橋くんや長尾は至って普通で、いつも通りのテンションで。
どうして平常心を保っていられるんだろう。
俺は長尾の手からそれを奪い返した。
長尾「ちょ、みっちー俺まだ見てるって！」
道枝「自分で買えや」
まだ頬が熱い。
Aちゃんの目を上手く見れない。
大橋「なあなあ」
A「ん？」
大橋「これ下着？水着？どっちなん？」
大橋くんはすごい。
俺が絶対に言えないであろうこともズバズバと口にする。
そんな勇気が俺にもあれば。
だけど現実はそう甘くはない。
A「んー…内緒」
悪戯っぽいその笑顔を視界の端に捉えて溜め息を零した。
Fin
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わさび醤油(プロフ) - kkさん» ありがとうございます！とても嬉しいです…これからも楽しんで読んで頂けると幸いです！ (2022年7月13日 1時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 一話完結型の短編集でこんなにもどのお話も楽しく面白いなと感じたのは初めてでした❤︎お忙しい中、たくさん更新してくださり毎回更新されるのが楽しみでした(^^)また続編も今から楽しみにしています❤︎ (2022年7月12日 23時) (レス) @page50 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - kkさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて幸いです。そしてリクエストもありがとうございます！更新まで暫くお待ちください！ (2022年6月24日 12時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - 小島くん、大晴くんがメインのストーリーリクエストさせて頂きたいです❤︎お忙しいとは存じますが、更新楽しみにしています(//∇//) (2022年6月24日 0時) (レス) id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - コメント失礼します。紅一点設定大好きで、わさび醤油さんが書かれるお話や設定、展開がとても素晴らしくて楽しく一気に読ませて頂きました❤︎どのお話も好きなのですが、特に小島くん、大晴くんのお話にきゅんとしました❤︎ (2022年6月24日 0時) (レス) @page16 id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年6月15日 0時
