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恋に焦がれているだなんてメンバーに話せる訳もなく、適当に誤魔化して1日をやり過ごした。
だけど、
歌を歌っている時も音を確認している時もギターを弾いている時も、常に頭の中を彼女が支配していた。
今何をしているだろう。
何を考えているだろう。
恋人はいるのだろうか。
趣味は何だろう。
彼女の名前は何だろう。
胸が締め付けられるような感覚に襲われる。
苦しくて切なくて、触れたくて。
だけどその願いは叶わない。
だって俺達は、ただの通行人と花屋の店員という関係に過ぎないから。
すれ違って挨拶を交わすだけの顔見知りだから。
良規「お疲れ様でーす」
長時間の練習とサウンドチェックが終わってスタジオを後に。
大晴「まっさん！」
暫く歩くと、背中から大晴の声が追いかけてきた。
良規「ん？」
振り返った先にはこちらへ向かって走ってくる大晴の姿が。
大晴「これ！」
良規「えっ？…あっ」
大晴が差し出した手のひらに置かれた小さな三角形。
ギターのピックだった。
大晴「忘れもん」
良規「ありがとう」
それを受け取り、鞄にしまい込んだ。
そのまま自然と並んで帰り道を歩く。
俺と大晴は同期。
だけどこうして2人で帰るのは久しぶり。
大晴「なあ」
良規「んー？」
大晴「何かあったん？」
良規「何が？」
大晴「んー…何かまっさんらしくない」
良規「え？」
横を見ると大晴と視線がぶつかった。
反射的に目を逸らしてしまったのはきっと見透かされたくなかったから。
大晴「時間ギリギリで来るしピック忘れるし」
良規「そんなんたまたまやって」
大晴「ほんまに〜？めちゃめちゃ怪しいけど」
ふと考えた。
大晴ならどうするだろう。
彼女を知る為に花屋に通う？
それとも通りすがる度に世間話でもしてみる？
何だかそのどちらでもないような気がした。
だけど見ているだけでは腹の虫が収まらない。
誰かにとられてしまってからでは遅い。
良規「とにかく何もあらへんから心配せんでええよ」
大晴「ふーん…あ、俺こっちやから」
良規「お疲れ〜」
大晴「お疲れ」
大晴と別れて1人になった瞬間、やはり彼女が俺を支配した。
独りよがりで自分勝手な片思いは続いていく。
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深澤りん(プロフ) - わさび醤油さん» レスありがとうございます！最後まで読みます！楽しみにしてます！ (2022年5月23日 20時) (
レス) id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - 深澤りんさん» コメントありがとうございます！是非最後まで読んでくださると幸いです。 (2022年5月23日 20時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
深澤りん(プロフ) - 丈くん推しです。切なそうだけど結末楽しみにしてます (2022年5月23日 19時) (レス) @page42 id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年4月2日 16時
