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俺は最低だ。
自分の気持ちが届かないことを理由にAに当たってしまった。
目が覚めてから徐々に湧き上がる自己嫌悪がメンタルを削っていく。
謙杜「おはようございます…」
それでも時間は止まってくれないし、仕事は待ってくれない。
丈一郎「謙杜今日の衣装見た？めっちゃ派手ちゃう？」
謙杜「え？どれですか？」
丈一郎「これ」
謙杜「ほんまや、めっちゃ派手っすね」
俺のモノクロな心とは正反対のカラフルな衣装。
その時、ポケットのスマホが短く震えた。
衣装を眺める丈くんに背を向けて画面を見ると、Aからのメッセージが届いていた。
"昨日ごめんね、忙しいのにどうでもええことで電話かけて。
もう連絡せえへんから仕事頑張って。ばいばい"
謙杜「何やそれ…」
丈一郎「ん？何？」
謙杜「あ、何でもないです…」
唯一無二の存在。
他の誰かが願っても"幼馴染"という立場にはなれない。
俺はそれを自分勝手な態度で手放してしまったのだとその時悟った。
Aが俺のことを"幼馴染"として利用するように、俺もこのポジションを利用していたのかもしれない。
結ばれないことを関係性のせいにして諦めていた。
"幼馴染だから仕方がない"と言い訳をしていた。
無条件に傍にいられるのをいいことに気持ちを伝えなかった。
そのツケが今、こうして回ってきたのだ。
辛くて悲しくて情けない。
謙杜「"ばいばい"…か」
思わず声に出した終わりを意味するその言葉。
幸いにも丈くんの耳には届かなかったらしい。
振り返ると、丈くんはまだ衣装と睨めっこしていた。
丈一郎「やっぱこれちょっと派手ちゃう？」
謙杜「…ですねえ」
人は何故恋をするんだろう。
失った時、虚しさしか残らないのに。
抱いた疑問の答えは出せなかった。
俺はまだ子供なのかもしれない。
だけどただ1つだけ分かるのは、
俺はまたいつかきっと恋をするということだ。
どれだけ傷付いてもどれだけドン底に落とされようとも、人はまた人を好きになる。
謙杜「丈くんやったら着こなせるんちゃいます？」
丈一郎「えっ？」
謙杜「絶対いけますって！！」
熱くなる目頭に気付かないフリをして明るい声を出した。
丈一郎「謙杜が言うんやったら間違いあらへんわ」
謙杜「はい！」
その後、俺がAからのメッセージに返信することはなかった。
.
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Fin
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深澤りん(プロフ) - わさび醤油さん» レスありがとうございます！最後まで読みます！楽しみにしてます！ (2022年5月23日 20時) (
レス) id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - 深澤りんさん» コメントありがとうございます！是非最後まで読んでくださると幸いです。 (2022年5月23日 20時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
深澤りん(プロフ) - 丈くん推しです。切なそうだけど結末楽しみにしてます (2022年5月23日 19時) (レス) @page42 id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年4月2日 16時
