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俺は駅に向かう際、遠回りして別の道を使うようになった。
そこまでしてでもAさんの顔を見たくなかった。
これ以上傷を深くしたくなかったから。
会えば会うほどに、話せば話すほどに彼女の魅力に引き込まれてしまいそうで怖かった。
失恋から1ヶ月が経った頃、休日を家で過ごす俺の元に大晴から着信が入った。
大晴「あ、もしもし？まっさん？聞きたいことあるんやけど」
良規「ん？何？」
大晴「最近仕事どうやって行ってるん？」
良規「え？」
突然の質問に混乱する。
大晴「いや、電車ちゃうんかなって」
良規「電車やけど…何で？」
大晴「え？そうなん？」
良規「うん…？」
質問の意図が読めない。
大晴「最寄りから乗ってる？」
良規「そうやけど…何でそんなん聞くん？」
大晴「あ、いや、Aちゃんが最近全然見かけへんって言うから」
良規「えっ…」
どうやら避けていることがバレたらしい。
大晴「心配してたで、まっさんのこと」
良規「あー…そうなんや」
大晴「うん、何かあったんちゃう？って。別にいつも通りやでって答えたけど。」
もう忘れてしまいたいのに。
なかったことにして、消してしまいたいのに。
彼女はそんなこと知る由もなく"いとこの大晴くんのメンバー"として俺に関わり続けてくる。
良規「…最近道変えてん」
大晴「あ、そうなん？」
胸の奥が苦しい。
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翌日、テレビ局へ向かう為に俺はまた駅を目指して歩いていた。
今日はあの花屋の前を通る道のりで。
ゆっくりと、確かに歩みを進めていく。
A「あ！おはようございます！」
俺を見つけた瞬間、Aさんの顔が明るく華やいだ。
A「最近見かけへんから何かあったんかと思って心配してたんですよ〜」
良規「大晴から聞きました」
店の奥から俊樹さんも出てきた。
俊樹「おはようございます」
良規「あ、どうも」
2人が並ぶ姿を見て、自然と頭に"お似合い"という言葉が浮かぶ。
そもそも始めから俺が出る幕なんてなかったのだと悟った。
A「大晴くんのことも正門さんのことも2人で応援してますから」
いや、俺にもできることが1つだけある。
それは彼女の幸せを願うことだ。
自分のものにならなくたって、好きな人の幸せは自分の幸せだ。
それが"俺らしさ"だとその時気付いた。
良規「ありがとうございます！」
2人に負けないくらいの笑顔を浮かべて俺はまた歩き出した。
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Fin
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深澤りん(プロフ) - わさび醤油さん» レスありがとうございます！最後まで読みます！楽しみにしてます！ (2022年5月23日 20時) (
レス) id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - 深澤りんさん» コメントありがとうございます！是非最後まで読んでくださると幸いです。 (2022年5月23日 20時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
深澤りん(プロフ) - 丈くん推しです。切なそうだけど結末楽しみにしてます (2022年5月23日 19時) (レス) @page42 id: 214e1122e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わさび醤油
| 作成日時：2022年4月2日 16時
