Story35 ページ37
降谷零 side
今日は、昼間から特に濃い一日だった。
まず、yarhuuことアスティが敵に回った。
子供相手には使いたく無かったが、彼女をこちら側に引き入れる為にも色仕掛けをする事にした。
少々強引だが、やむを得ない。
彼女のハッキング技術は、今やどの業界も欲している物なのだから。
FBI、CIAを始め、僕ら公安もその類の一つだ。
何度も言うが、依頼をすれば驚く程の短時間で的確に情報を送り出してくれる彼女の腕は確かだ。
それをみすみすと組織の奴らに渡して溜まるか。
言わばこれは、僕の一つの対抗心だった。
こちらの連絡先は渡したものの、あちらの情報は何一つ手に入れていない。
明日とは言ったが、ちゃんと来てくれるだろうか…。
そんな不安が湧いてきたが、それをかき消す様にして頭を数回振ったあと、僕は"降谷零"の自宅の鍵を開けた。
『降谷さん、おかえりなさい。』
玄関の扉を開ければ、あの子の声が降ってきた。
…台所に居るのか?
おかしい、いつもならあの子はこの時間帯になると完璧に夕食を作り終えているはずだ。
「ああ、ただい……っ!!?」
何だか嫌な予感がして台所に行くと、その予感は的中してしまっていた。
あの子が、Aが、料理用の包丁を掲げ上げていたのだ。
気がついた時には、まず身体が動くと言うのはよく言ったものだ。
僕は、Aの右腕を捻り上げていた。
…今、この子は何をしようと?
あの状況からするに、持っていた包丁をこの子が振りかざすまで、そう間は無かったように見えた。
なんという事だ。
この子は、自分の手で自分を傷付けようとしていた。
こんな幼い手で、こんな幼い体を。
それでもなお抵抗を見せるAの手を、さらに力を入れて捻りあげる。
そうすれば流石に限界だったのか、Aは包丁を手放した。
ホッとしたものの、直ぐに包丁を拾い上げた。
並べられた食材を見れば、今晩作ろうとしていたであろう物が容易に想像出来た。
いつもは唐突に家事を手伝い始めたこの子に甘えて作って貰っていたが、この現場を見てからの話は別だ。
あともう少し遅ければ、この子はどうなって居たのだろうか。
それを想像すると、サッと血の気が引いた。
…それだけは、阻止しないと。
今後についての対策を考えながら食材を切っていく僕だったが、Aが包丁を取られてから少し落ち込んだのは見逃さなかった。
…そんなに、僕が嫌なのか。
気が付けば、それは声に出ていた。
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食物連鎖の頂点に立ったササミ(国産)(プロフ) - ユキさん» うわあ本当だ……ありがとうございます!!更新の励みになります!これからも頑張りますね!! (2019年8月29日 18時) (レス) id: 1320405534 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - すごく面白いです!更新楽しみにしてます!!それから、24話なんですけど、URLではなくて、USBかな?と思ったのですが、間違ってたらすみません。 (2019年8月26日 13時) (レス) id: 36bc1bbe51 (このIDを非表示/違反報告)
食物連鎖の頂点に立ったササミ(国産)(プロフ) - 明里香さん» いつもお世話になってます!全然細かくなんてありません!(笑)多分これからも誤字る予定なのでもっとビシバシ言ってやってください!<(_ _)> (2019年8月13日 22時) (レス) id: 1320405534 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 46話が45話になっています。 (2019年8月13日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 44話に誤字がありました。「見たいですから」ではなく、「みたいですから」です。細かくてすみません。 (2019年8月13日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食物連鎖の頂点に立ったササミ | 作成日時:2019年7月23日 16時