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「先行くね」
『う、ん..』
「いってきます」
嵐のような夜が終わり、布が擦り合う音で目が覚めた。
剛典は体が痛くて動かない私を見ると、くすりと笑みを浮かべ額に唇を落とす
『いってらっしゃい』
まだ1時間ほど寝れることを確認すると私はまた眠りについた
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____ prrrrrrrrrr
『.....はい』
「何時だと思ってんの」
『っと、....10時、です......10時?!!?!』
キシキシと痛む体に響く着信音。
電話の向こうはきっと啓司さんだ。
「めずらしーな、おい。」
『すみません、すぐ行きます、ほんとに、あの』
「いいからいいから、気をつけてこいよ」
『はい.....すみません、』
「......彼氏んち?」
『は、...えっと』
「いや、いいよ、気をつけてな」
電話が終わって、プシューと音が立ちそうなほど脱力した私。
....... 何やってんだよ、
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「社長出勤すか〜」
『.....ごめんなさい』
「いやいや!嘘です嘘!」
『こんな....セッティングなんか手伝ってもらっちゃって』
「俺も昨日手伝ってもらったんで!おあいこっすよ」
白濱くんは手際よく資料を並べ、敬礼のポーズをして見せたあと、外回り行ってきます!と会議室を飛び出した。
最低限のメイクと、一つにまとめただけの髪。
出勤早々直人さんに「なんか幼いね」と頭を撫でられた
マスカラは...塗ってくるべきだったな....
合間に塗っとこう...
「よーっす」
『あ、...』
事前に配られていた資料を丸め、肩にポンポンと打ち付けながら会議室に入ってきた啓司さんはいつもと同様とても眠そうだ
「亜嵐が手伝ったんだって?」
『はい..やりますよって言ってくれて』
「良かったじゃん」
『なんとか間に合いました』
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「彼氏ってどんなやつ」
いつもと同じ席に腰掛けた啓司さんはパラパラと資料をめくるとなんの脈絡もなく口を開いた
『えっ、』
「どんなやつなの」
『..........優しいです』
「...そ、」
『はい』
なんとも言えないどろりとした空気の中で2人だけの沈黙が続いた。
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作者名:バニ | 作成日時:2018年8月11日 16時