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「よぉ、」
「......っ、哲也さんすか、」
「ビビった?」
俺も帰るか、とカバンを手に取り帰宅準備を始めたと共に頭上から降ってきた声。
一瞬縮こまった心臓は誰の声なのか識別できた途端にまた元に戻る。
「帰って、...ましたよね?」
「あーうん、なんかまた社長に呼ばれて戻って企画の話だけ聞いた」
「えっ、社長今日帰国なんすか?!」
「一時帰国ね、一時っつーか、んー.....一瞬?」
「多忙っすねー」
「ほんとね、同じ会社の人間とは思えない」
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少しの沈黙のあと、
「ここらへんまだAちゃんの匂いすんね」
「哲也さん変態くさいっすよ」
口を開いたのは哲也さんで、
「啓司とのことなんか聞いた?」
「聞こうと思ったんすけど、すごい急いで手伝ってくれて、終わったらすぐ帰っちゃったんで、」
「俺もさ廊下ですれ違ったんだけど、顔に書いてたもん ゛急いでます゛って。」
「Aさんって結構顔に出ますよね」
「えーそうかな、あんま分かんない。顔は綺麗だけどね」
可動式のイスに腰掛けた哲也さんはくる、くる、
と中途半端に動きながら続ける。
「啓司が選ぶワンナイトの相手がAちゃんっつーのが信じられないんだよね」
「あー...確かにそうっすね」
Aさんは、綺麗だ。
肩甲骨あたりまでの藍色の髪と、白い肌。
折れちゃいそうな体はきっと柔らかい。
Aさんは俺らが軽く引っ掛けちゃうような女の子とはどこか違うような、特殊な雰囲気を醸し出している、
「登坂とかAちゃんのこと好きっぽいしね」
「え、まじすか」
「見てたらわかるでしょー」
「臣さん、...」
「あくまで俺の見解だから口外禁止ね」
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入社2年目、まだまだ新人ながらにも嵐の予感感じてます。
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作者名:バニ | 作成日時:2018年8月11日 16時