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「あー会議さ2階じゃなくて3階に変更になったから」
『え、あ、はい』
もっと早く言ってください、....直人さん。
会議室のドアから顔を覗かせたその人は完璧にセッティングされたテーブルを見ると苦笑して ごめんね と可愛らしいウィンクを飛ばしてきた、
『あ゛〜もう、.............！？ごめ、ごめんなさ、い』
悪態を付きそうになる口をつぐみ、
ばばっ、と資料をひとまとめにし胸に抱えドアノブを掴んだのとドアの向こうの人物が会議室に入ってこようとするのはほぼほぼ同時で
「お、いたいた。金返すよ、いくら？」
事なきを願いながら床に散らばってしまった資料をかき集める私の頭に降り掛かる声が昨日の出来事をフラッシュバックさせる
「A〜、聞いてんの？」
『は、い』
「いくらだった？ホテル。」
やっぱりやってしまった、..やってしまっていた。
入社4年目にして、わたしは大失態を犯した
資料を集める手を止め、目の前の人の顔を見上げる
『9千円です....』
「..............って、お前俺のことちょっと意識するとかないわけ」
『........ないです』
「あっそー、じゃあ、はい。どうぞ」
相手は私の手に1万円札を握らせると、スタスタとすぐにその場を立ち去る
昨日の着ていたものと同じシャツから香る匂いが去っていった人からも香って、 現実 を突きつけられたような気がした
「あ、そーだ」
『なに...』
「痕、見えてる」
少し先でこちらを振り返った啓司さんは自分の首元をトントンと叩くとニヤリ、と笑みを浮かべみせたのだ
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作者名：バニ | 作成日時：2018年8月11日 16時
