番外編置き場5

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ーぃ…、んせ…


ー…北斗先生！




北「えっ？あ、おはよ…。」




昔のことを思い出してて、ぼーっとしちゃってたみたい。

気がつけば君が心配そうに俺の顔を覗き込んでる。




『大丈夫？待たせてごめんね。疲れてるの？』

北「ううん、大丈夫。いろいろ思い出してただけ。」

『うん？何を？』

北「昔折り畳み傘を可愛い生徒に巻き上げられたことがあったな、って。」




つん、とおでこをつついて言えば、
君はしどろもどろに色々弁解しようとしてる。


でもやっぱり最終的には

朝は晴れてたんじゃないかな？って。




北「そういうのなんて言うか知ってる？
無鉄砲って言うんだよ。」

『私の座右の銘は結果オーライだから。』

北「そんな言葉座右の銘にしないの。」




じゃあ行こっか。


今日は下町をぶらぶらお散歩する予定で。

晴れてるときはきっと活気に満ちているんだろうけど、
雨の下町もしっとりした情緒があっていい感じ。



軒を連ねる店たち一軒一軒で女将さんが試食をくれたり、
あっちで甘いのが売ってるよ！なんて気前よく教えてくれたり。

なんだか江戸を感じてる。




北「ほら、もっとくっついて。濡れちゃうじゃん。」

『北斗先生こそ、ちゃんと自分の方差して。風邪ひいちゃう。』




お互いに
もっとそっちに、もっとそっちに、って
真ん中の棒を相手の方に押しあう。

相手を雨に濡らしたくなくて。



だけどすぐいろんなものに惹き付けられる君は、

雨なんか関係ないみたいに
すぐこの傘から外にはみ出していってしまうから。


いい加減ちゃんと繋いでおかないとね。



頭の上に広げた傘の中で、
柄を持つ俺の腕にAの腕をしっかり絡ませた。

ぴと、とくっついた体の半分があつい。




『えへ、これいいね。北斗先生と相合い傘嬉しいなぁ。』

北「お前可愛いこと言って傘忘れたこと帳消しにしようとしてるだろ。」

『ち、ちがうよ！本心だよ！』

北「ふふ、はいはい。」




俺も相合い傘嬉しいよ。

たまにはこうやって雨の日のお出かけもいいよね。




くっついた体の反対側。


君の肩が濡れてしまわないように、

もう少しだけ傘を傾けた。


あいあい傘、おわり。

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