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無力さに蝕まれる ページ22

「そんなにむすくれても、無理なものは無理だよ」


病室のベッドに横たわる太宰がムスッと椅子に座るレフに苦笑した。

ウイルスの異能力者はダミー情報ばかりで、手掛かりのない異能力者確保は不可能に近い。

ポートマフィアに捕まっている谷崎の身が危険に晒されている今谷崎奪還の為探偵社はポートマフィアのビルへ向かった。

レフを太宰の傍に置いて。



『分かっているさ。僕は弱いからね、うっかり流れ弾にでも当たれば死んでしまうよ』


「顔と言葉が噛み合ってないなぁ」

自身で行かないで正解だと言うレフだがその表情は浮かばない。
折角決心がついたというのに、その直後お留守番を任されてしまったのだ。
ケラケラと笑う太宰だが、すぐ様腹を抱えいたた…と呟く。


『大丈夫かい?』

「痛いよ。凄く痛い。私は痛いの嫌いなのだけどねぇ」

まあ、でも…と太宰はニヤッと笑った。


「フョードルへの嫌がらせは成功したし、仕方が無い痛みと受け入れよう」



うふふ、と笑う太宰に程々にしてあげてねとレフは苦笑した。




◇◆◇




翌日。



太宰の病室へ訪れると、若い女性看護師が顔を赤らめ入ってきたレフへ勢い良く振り向く。



「そ、それじゃあ…私は、これでっ!」


「ハァイ、又ね看護婦さん」


何となく、何があったのかレフには想像がついてしまった。



『太宰君…僕は何も見ていない事にしておくよ』


「嫌だなぁ、ちょっとお話をしていただけだよ」


胡散臭い笑みでヒラヒラと手を振る太宰にレフは半目で見つめる。


フョードルと似ていると一時期思ったが、それは思い違いかもしれない。
レフの知るフョードルはみだらに女性を口説かないし、あちらの方が誠実そうだ。


誠実か否かはレフのこうであって欲しいという懇願も入っているが、女性関係は太宰よりは良い方だろう。



「それじゃあ、私はもう行くよ」


『行く?何処にだい?』


そんな怪我で出るのか、とレフが止める。


「病院からの許可は取ったし〜お姉さんにお願いしたら、今日だけですよって」

へら〜と笑う太宰にレフは目眩がする思いで頭を抱えた。


『成程、さっきの女性は…嗚呼…うん』


これは、怒るべきなのだろうね、とレフは太宰を見た。


「レフ君は、待機で頼むよ。外出は控えて、フョードルには会わせると約束しよう」



『待機…そうだね、分かったよ』


また待つのか…レフは溜息を1つ吐いて太宰を笑顔で見送った。

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なはて(プロフ) - ものすごい面白かったです!作者様の気が向いたらでも良いので、続きを書いてくれたら嬉しいです! (2022年4月25日 7時) (レス) @page22 id: 72c776ebcc (このIDを非表示/違反報告)
天人鳥(プロフ) - すんごい続きが気になります…。更新お願いします! (2022年3月28日 19時) (レス) id: d581acac34 (このIDを非表示/違反報告)
塩じゃけ(プロフ) - この作品完結してしまったのでしょうか…?続きが気になります! (2021年5月1日 12時) (レス) id: 5986ae6a0e (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - わたくしさん» それなです〜ほんと色とかもつけて欲しいです。絶対上手い (2021年3月27日 23時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
わたくし - 絶対デジタルで絵描いたら上手いですよ! (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6ee51eba6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年7月16日 23時

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