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一線を超える ページ16

「ある犯罪者の持つウイルス型の異能です。ごく小型の異能生物が48時間かけて成長し宿主二人の体を喰い破ります

…ただしその前に宿主のどちらかが死ねば異能は停止します」


「つまり社長を救うにはもう一人の宿主である森さんを殺すしかない」

「異能力無効化は諦めてください。
重要臓器内に隠れたウイルスを探し直接触れようとするのは自 殺行為です。

…どうします?ポートマフィアと相談でもしますか?」

内心を悟られぬよう口に笑みを携えてフョードルは言う。

太宰は、ああそう言えば…とおどけた様子で笑った。


「似たもの同士…、彼も言っていたよ私の瞳は君に似ているんだって」

「……誰の事です?」



「彼だよ、レフ・トルストイ君。君の友達なんだろう?優しく、良識があり、困った人は放っておけない。まさに光の住人だ」


矢張り気付かれたか、とフョードルは内心舌打ちをした。

「友人など僕にはいません。勝手な事を言わないでください」


気が付けば帽子を強く握っていた手をフョードルは挙げる。

これ以上は、聞きたくはなかった。
不快である。不愉快だ、気持ちが悪い。


それを合図とするように太宰の腹に銃弾が貫いた。

「狙撃手…私の行動も予測済みか…」

「急所は外させました。あなたにはポートマフィアとの衝突を知らせる役がありますから」


本当ならば、この口を二度と開けないようにしてしまいたい。
そんな気持ちを押し込んで、フョードルはゆったり歩いて行く。


帽子を頭に被りその場を離れようとした時…声が、聞こえた。


『太宰君〜、どこだい?僕、こういうジメッとした所苦手なのだけど…』


聞き慣れた声だ。
今は、最も聞きたくなかった声。


「ふふ、」

後ろから、掠れた笑い声が聞こえた。

「…、やってくれましたね」



この男、狙撃者の存在も知っていてわざと撃たれたのだ。

倒れる太宰を見て、フョードルの顔が歪む。


『太宰く…ん?』


声が、すぐ近くに迫った。


「……」



『…フェージャ君…、君…一体、何を』



「……何故、ここに来てしまったんですか」



知らなければ、その目で見なければまだ…。



そこまで考えて、フョードルは思う。


まだ…、なんだと言うのだろう。


『フェージャく…』



ハッ、とレフの視線がフョードルから後ろに倒れる太宰に向けられる。


『太宰君!?』


レフが、フョードルの隣を過ぎ去った。


その一瞬がフョードルにはやけに目にこびりついた。

境界線を超える→←その気持ちは



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なはて(プロフ) - ものすごい面白かったです!作者様の気が向いたらでも良いので、続きを書いてくれたら嬉しいです! (2022年4月25日 7時) (レス) @page22 id: 72c776ebcc (このIDを非表示/違反報告)
天人鳥(プロフ) - すんごい続きが気になります…。更新お願いします! (2022年3月28日 19時) (レス) id: d581acac34 (このIDを非表示/違反報告)
塩じゃけ(プロフ) - この作品完結してしまったのでしょうか…?続きが気になります! (2021年5月1日 12時) (レス) id: 5986ae6a0e (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - わたくしさん» それなです〜ほんと色とかもつけて欲しいです。絶対上手い (2021年3月27日 23時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
わたくし - 絶対デジタルで絵描いたら上手いですよ! (2021年2月7日 1時) (レス) id: 6ee51eba6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年7月16日 23時

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