第十六夜 ページ18
Aは再び目を覚ました
ベッドから降りて窓を開ける
夜の森の涼しげな空気が部屋の中にするすると入っていくのを感じた
適当な身支度を済ませ、ドアを開ける
パンと果物、それから冷め切ったスープが銀のトレーの上にいつものように置いてあるのを確認した
部屋に入り、黙々と食事を取る
Aは昨日の出来事を思い出していた
深緑の服を着た男が自分にずっと会いに来ていた
昼のうちは独りではなかったことに安心感を覚えたのはなぜなのだろうか
食事を終えると、窓の縁に手を添え外を眺めはじめる
今宵は新月、より一層闇が濃い
Aは沈黙に慣れていた
但し新月の夜だけは月からも見放されたようで、より一層孤独が増す
いつからここにいるのだろうか、いつになればこの沈黙は終わるのだろうか
月も誰もいない夜はAの心をじわじわと苦しめていった
急に泣きたい衝動に駆られる
あの男と出会ってから、久しく聞いていなかった人間の声を聞いてから自分が独りであることを再確認させられてしまったのだ
もうあの男は来ない
あの時、咄嗟に放った優しさ紛いの一言を言わなければ今日も男はやってきたのだろうか
何はどうあれこんな新月の暗闇の中には誰もくるわけがない
思考を巡らすうちにとうとうAは寂しくなった
俯いて目を閉じているとガサガサと茂みが揺れる音がする
森の少し奥から暗闇に似合わないような白い光が浮いていた
光はどんどんこちらへと近づいてくる
眩しさのあまり目を細めるが、目を凝らすと昨日の男がそこにいた
「昨日ぶりやな！」
「どうして…」
Aは男が来ないと思っていたから戸惑ってしまう
「寂しいやろうって思って」
フードで目元は見れなかったが、確かに男は屈託のない笑顔で笑っていた
「独りの寂しさは俺もよう知ってたから」
新月の闇にそぐわない光がこの家を訪ねた
「寂しかった」
突如唇から言葉がポロリと零れ落ちたかと思うと次には涙が溢れて止まらなくなった
点々と木の窓枠に黒く染みができる
男は静かに、それでいて優しく女を宥めた
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葵斗(別アカ) - 親の敵みたいに塗りたくる…w (3月25日 8時) (
レス) @page34 id: 8875507bce (このIDを非表示/違反報告)
作者 - いちごミルクさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました！面白いと思ってもらえて良かったです！！ (2020年7月5日 16時) (レス) id: 69ae9c9327 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです！！ (2020年7月5日 0時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - VOCALOID好きの一般人。さん» クラッカーも作ってくださったんですか！！ああ、理解者いてくださるなんて感激です…！ご家庭に特製のシロップがあるなんて羨ましい(*ﾟ▽ﾟ*)是非これからも色々アレンジして新しい味を見つけていって下さいね！ありがとうございます！！ (2020年7月1日 16時) (レス) id: 69ae9c9327 (このIDを非表示/違反報告)
VOCALOID好きの一般人。(プロフ) - 度々失礼します。クラッカーも作ってみました。私の家に蜂蜜は無いので、メープルシロップみたいな我が家特製シロップなんですけど。あと生ハムにかけるの、胡麻じゃ無くてブラックペッパーでも美味しかったですよ！失礼しました。 (2020年7月1日 1時) (レス) id: 02313a92b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：逆転の人 | 作成日時：2020年6月1日 2時
