第十五夜 ページ17
「今日は遅かったやん」
書類を数えながらトントンは言う
窓の外を見ると藍の色が滲み始めていた
書類に不備がないことを願いながらゾムはトントンの反応を待つ
数分後、トントンは紙の束を綺麗に纏め始める
「ん、ええで、ご苦労さん」
淡々とした言葉であったが、これ以上の言葉をゾムは望んではいなかった
書斎を出て自分の部屋へと急ぐ
廊下の途中でエーミールを見かけた
倉庫の方へと向かっているようだったが、とてもではないが今は話せる状態ではない
日没まであと少しだと自分に言い聞かせ、部屋に戻った
適当な荷物を見繕って自室の窓から外へ出る
こんな時間に玄関から出るには些かリスクが高すぎるからだ
ロープを垂らし誰にも気付かれずにゆっくりと降りていく
はずだった
「ゾムさん」
しまった、と気付いてももう遅い
振り返るとエーミールが立っていた
「エミさん…」
はくはくと口が動くだけで言葉が何も出てこない
「行くんですか？」
どくんと心臓が大きく脈打つのをゾムは感じた
「っ、頼む‥行かせてくれ」
エーミールは黙ってゾムの前に何かを差し出した
夜営によく使われるランプと軍事用のトランシーバーだった
「倉庫から拝借するの大変だったんですからね」
思いがけないことにゾムはぽかんと口を開けたままでいる
「貴方がこういう人やっていうのは分かってたんです、危険を顧みず相手のことを思いやる、自分の意志を曲げない強い人だっていうのは」
エーミールは困ったように笑った
「昨日、独りの寂しさを知ってるって言いましたよね。そんなこと言われたら、私じゃ貴方を止められへんやないですか。」
「エミさん…！」
「くれぐれも気をつけて、何かあったらそれで連絡するように」
ゾムは目頭が熱くなった
「エミさん、ごめん、でもありがとう」
トランシーバーとランプを受け取り、ゾムは森へと走り出した
ランプの白みがかった黄色の光が遠くへと消えていくまでエーミールはずっと見守っていた
ーーーーーーー−−−−−−−−−−−−−−−−−
《お詫び》
少し勘違いをしていて、以前書いていた二里先の森を一里先の森に訂正しましたすみません
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葵斗(別アカ) - 親の敵みたいに塗りたくる…w (3月25日 8時) (
レス) @page34 id: 8875507bce (このIDを非表示/違反報告)
作者 - いちごミルクさん» 最後まで読んでくださりありがとうございました！面白いと思ってもらえて良かったです！！ (2020年7月5日 16時) (レス) id: 69ae9c9327 (このIDを非表示/違反報告)
いちごミルク(プロフ) - 完結お疲れ様です。面白かったです！！ (2020年7月5日 0時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - VOCALOID好きの一般人。さん» クラッカーも作ってくださったんですか！！ああ、理解者いてくださるなんて感激です…！ご家庭に特製のシロップがあるなんて羨ましい(*ﾟ▽ﾟ*)是非これからも色々アレンジして新しい味を見つけていって下さいね！ありがとうございます！！ (2020年7月1日 16時) (レス) id: 69ae9c9327 (このIDを非表示/違反報告)
VOCALOID好きの一般人。(プロフ) - 度々失礼します。クラッカーも作ってみました。私の家に蜂蜜は無いので、メープルシロップみたいな我が家特製シロップなんですけど。あと生ハムにかけるの、胡麻じゃ無くてブラックペッパーでも美味しかったですよ！失礼しました。 (2020年7月1日 1時) (レス) id: 02313a92b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：逆転の人 | 作成日時：2020年6月1日 2時
