【フリーホラーゲーム】この愛で溺死しよう【短編集】

りるれふ『守るよ』【赤ずきん】　　男主　　 ページ2

俺の体は確かに、赤ずきんへと向けられた銃弾を受け止めていたんだ。
目を見開く赤ずきんと、狩人。

俺の耳は狐の耳へ、腰辺りには尻尾もある。
狩人が迎撃をする前に、俺は狩人を蹴り飛ばした。

狩人がごぽりと吐血し、俺に狩人の血が付着する。

「化け物め……」
狩人はそういうと、気を失った。
俺はそのまま、狩人の喉笛を引き裂いた。


「アンタ……強いね」
横たわり息も絶え絶えな狼を抱え、道具屋の横へ置く｡
道具屋は、きっと狼を好きだった。


「あ……A、くん」
消え入るような、赤ずきんの声。

「ごめんね、赤ずきん
俺、怖いでしょ？」
無理もない。
今まで仲の良かった友人が、実は化け物だったんだ。
でも、赤ずきんに見られたくはなかったな。

「怖くない、怖くないよ」
説得力無いよ、赤ずきん。
腕も、声も、震えている。

「いいかい、俺はこのまま狩人達を埋める
赤ずきんは、何も見てない、だから……村へ、戻りな」
赤ずきんは、その綺麗な目からボロボロと涙を零す。
幼児のように、やだ、と繰り返すばかりだ。

「やだ、Aくんと一緒に行く、連れていって」
俺のコートに顔をうずめ、離すまいと手を回す。
そんなに言われたら、君を連れ去ってしまいそうになるから。

「本当に良いのかい？
もう、君の知っている人には会えなくなる、二度と……」
「良いよ」
赤ずきんは今度こそ、力強く頷いた。





「……ごめんね」
この謝罪は、はたして誰へと言ったものなのだろうか。


俺が、守るよ。赤ずきん。

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