永遠色グラフィティ

シルシ(3) ページ14

手越が旅立って一週間。

あと二日で、手越は帰ってくる。



一人で悶々と悩むのにくたびれ、

手越がいない間は仕事に集中することにした俺。



だけど、ここに来て恐怖の休日が巡って来て。

シゲは仕事で掴まらず、一人近所に散歩に出た。



公園の川縁に座り、きらきら光る水面を眺める。


やっぱり一人でいると考えちゃうよ。

手越のこと。

俺たち、このままで良いのかな。

もしも俺だけが手越のことを好きだとしても、

もっと気持ちをちゃんと言葉や態度に出した方が・・



そこまで考えた時、ポケットの携帯が鳴った。



「もしもし小山？」



「あれ、シゲ。どしたの？」



「わりぃ、なんか、週刊誌載っちゃった」



衝撃的な言葉を口にする割に、

その口調は全く緊迫感を含んではいなくて。



「えっとーそれはシゲが？」



「うん、俺と・・」



ごくり。

唾を飲む。

女か。

女なのか。

どこの女なのか。


覚悟を決めた時、シゲが言った。



「お前」


・・・・。



「は？俺？」


思わず立ち上がり目が点状態の俺に対し、


「そうなのよー。

この前式場見に行ったじゃん。

あれだよあれ。

お前か俺が近々結婚するんじゃないかって記事でさ。

ま、特に問題にはならないだろうけど・・・」



「けど・・？」


「あいつが・・・」


「あいつって・・」


「手越に決まってんだろ」



恐れていた答えが帰ってくる。



手越がそんなの気にするとは思えないけれど、

全く何も気にされなかったら・・。

俺にとってはそれが怖かった。



「どうする？」


「どうするって？」


「あいつに言うか言わないかだよ」


「そんなの、言わないよ。

何もやましいことなんてないんだもん」


咄嗟に言ったけれど、シゲはやっぱりシゲなのだった。



「お前が怖いだけなんじゃないの」


「えっと・・それはどういう・・」


「弁解しても、全然気にもしてくれなかったらって。

それを恐れてんだろ？」


「シゲちゃん・・鋭過ぎ」


「何年お前の友達やってると思ってるんですか？

まったく・・。大丈夫だって言ったろ？

手越はちゃんとお前のこと・・」


「わかった。

じゃあ言う。電話してみる」



シゲの言葉を遮った。



いくらシゲが言ってくれても、

俺は自信なんて持てない。



だけど、もうやめたいんだ。



こんな曖昧な関係でいるくらいなら、

はっきりさせよう。

こんなの俺らしくもないし、

手越らしくもない。





(つづく)

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