君のせい(2) ページ44
撮影中も、撮影が終わった後も、やっぱり手越の様子はおかしかった。
「今日手越元気なくない?」シゲはそう言ったし、
「早く帰って寝なよー」小山もそう言って、りんごジュースを手越に渡した。
けど手越はそんなことないと言って。
でも明らかに今日の手越には笑顔がなくて。
俺ら以外はもう帰ってしまった楽屋で帰り支度を終えて声をかける。
「手越、」
「ん?」
「何か悩みでもあるならさ、飯でも食べに行く?」
手越を誘うのは初めてでドキドキしたけど、何か悪いことの起こる予兆なんじゃないかって気もして。
「えっ、ご飯?」
「うん、食欲ない?」
「あ・・いや・・えと・・」
「本当おかしいよ今日」
こんなに歯切れの悪い手越は見たことがなくて。
不安ばかりが膨らんでくる。
「・・誰のせいだよ」
え?
「は?何それ。どういう意味?」
ボソッとつぶやいた言葉に驚いて、つい声が大きくなる。
「ごめん、何でもない」
「いや、何でもなくないでしょ」
「ほんとごめん、怒らせる気なんかなかったの。ごめん」
「謝って欲しいわけじゃなくて。どういう意味か聞きたいんだけど」
そう言うと、手越は口を噤んでうつむいた。
「もういいや。帰るね」
本当は最後まで問い詰めたい。
だけど、しつこい奴だと思われたくなくて。
嫌われるのが怖くて。
プライベートにまで首を突っ込むのかと、疎まれたくはなくて。
荷物を持って楽屋のドアを開く。
すると後ろから駆け寄ってきた足音が乱暴にドアノブを奪い、大きな音を立ててドアを閉じた。
ドアを背に俺を見る手越の表情は泣きそうにも見えたし、怒っているようにも見える。
「ご飯行こう」
「え?」
「行きたい店、あるんだ」
行きたい店なんて言葉、今の状況にちっともそぐわない。
そう思ったけれど、そんなことを口にするのはやめた。
「わかった。行こう」
ちっとも読めない手越の心。
30歳になったら、わかるようになれば良いのに。
ーーーーーー
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
深く頭を下げるウエイター。
「こんばんは」
手越は今日初めての笑顔を見せる。
俺は戸惑ったまま、手越の後について店内に足を踏み入れた。
「ここ、古い洋館を改装したお店なんだよ」
賑わっている様子のホールの横を抜け、
案内されたのは窓の多いサンルームのような部屋。
カーテンは閉まっていたけれど、頭上には天窓が嵌っていた。
(つづく)
73人がお気に入り
「ジャニーズ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晴菜(プロフ) - セブンのほうっす(笑)あの、早朝6時〜9時まででそこから本命の居酒屋さんへ10時から出勤みたいなのが最近多くて←もう、もちこお姉さんの小説が癒しすぎて!です(笑) (2016年7月6日 14時) (レス) id: 89c9b14931 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 晴菜さん» 晴菜さぁぁぁぁ〜んっっ!(ゆとりん風わからずw)早朝出勤多いんですかぁっ!7の方かな?私は遅番多くて夜が短いぃ〜!創作時間少ないっす_φ(・_・これが癒しになっただなんて嬉しおす♪最近露出多いし、昨日の増田くんも可愛くて。次は、でしょうな!お楽しみに〜! (2016年7月6日 0時) (レス) id: 8a4fdbbce2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜(プロフ) - もちこお姉さぁぁぁぁぁぁん!テゴマスキュンっ!←(HSJ中島風)もう、最近早朝出勤多すぎてなんで、これが癒しになりました♪コンサートも、カッコよすぎたし、テゴマスはくっついたしで幸せっす(笑)次はコヤシゲかしら?ふふ。楽しみです♪ (2016年7月5日 23時) (レス) id: 89c9b14931 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - クラハさん» にゃ〜ん♪(笑)うれしい感想ありがとう(≧∇≦)最後がいっちゃんむずかしい〜! (2014年7月4日 21時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
クラハ(プロフ) - きゅ~ん、が止まりません←どんな感想だ?(笑) (2014年7月4日 20時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:大福もちこ | 作成日時:2014年5月1日 21時