僕の誕生日＜NEWS編＞

祐也の恋愛三カ条(2) ページ21

「おはよ・・」


Aの寝顔を眺めて迎える

穏やかないつもの朝。


モチモチの頬っぺたに引き寄せられる手のひらは、

あっと言う間に君の温かい手で捉えられ。



「A、今日仕事休みなよ」


気付けば勝手に動く俺の口。



「どしたの珍しい」


寝起きの小さな瞳を瞬かせた。


きらきらと、小さな粒がこぼれる音がした。



ーーーーーー



「今日はずっと、Aのこと見つめていたい」


「えっ？」


もう付き合い始めて随分経つけれど、

そんな祐也は初めてだった。


仕事ズル休みしたいなんて言ったらがっかりするだろうなって、

ずっと思っていたから。


向上心の塊で、

野心を隠そうともしない祐也に

最近正直疲れ始めていた。


祐也は大好きだけど、

家ではのんびりくつろぎたい。


弱音やグチを吐ける場所であってほしい。

それじゃなきゃ、どこで息をつけるのだろうと。


そんな想いが、顔に出ていたのかな？


朝から大きな祐也の瞳。


本当に愛おしそうに私を見る。

私だけの瞳。



ーーーーーー



「何かあった？」


俺の目に映るAは、

いつも強い意志と思いやりに溢れていた。


「いつも、俺の事気遣ってくれるね、Aは」


あまり俺を頼ってくれないとこ、

不安なんだ、俺。


それに最近、家に帰って来るの遅いから

全然話も出来てない。


「寂しいよ、俺」


もっと我が儘言って、俺を翻弄していいんだよ？

もっともっと、俺、Aのこと、


「知りたいんだ、もっと」


「知りたい？」


「うん、Aのこと俺、

何もわかってない気がして。


可愛いとことか、優しいとことか、

俺のことどんだけ好きでいてくれるかとか。

それはもう痛い程知ってる。


でも、Aがどんなことに腹を立てるのかとか

毎日何を思ってるのかとか・・。

全然解ってないんじゃないかって。

もっともっと、知りたいんだ、Aのこと」



ーーーーーー



「祐也・・」


なんだ。

祐也はちゃんと、見てくれようとしてたんだね。


弱音吐いちゃいけないって

勝手に思ってただけだったんだ、私。



ーーーーーー



「じゃあ休んじゃおうかな！」


笑った顔が、子供みたいに嬉しそうで。


心からの笑顔、久しぶりに見れた。

そんな気がした。


互いに高め合える関係を求めていたけど、

今はそんなのどこ吹く風。


一緒に堕ちたって構わない。

君となら。


Aの一番そばで、

一番の理解者になりたい。






(つづく)

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