僕の誕生日＜NEWS編＞

祐也の恋愛三カ条(1)　＜手越祐也 11.11＞ ページ20

手越祐也の恋愛三カ条。


ひとつ、出会いはロマンチックであるべし。

ふたつ、互いを高め合える関係であるべし。

みっつ、ずっとずっと、イチャイチャラブラブし続ける二人であるべし。




ーーーーーー



「ミャァ・・」


どこかで小さな声がする。怯えた様な・・あっ！


「子猫ちゃぁん！」

はっ、変な声出しちゃった。やばいやばい。

子猫には弱いんだよ俺。


あ、状況を説明するとね、いま俺、散歩中なんだけど、

ご近所の一軒家のひさしの上で

動けなくなってる子猫ちゃんを発見したの。


日が暮れかけた秋の東京はもうすっかり涼しくて、

真っ白なフワフワしたその子は力なく震えている。


灯りのついていない家だから、

家人もまだ帰ってきてないんだろう。


よし、待っててな、子猫ちゃん♪


心の中でつぶやく。


待たせてばっかりの俺の子猫ちゃんへの想いも込めて。



その家の塀に飛び乗ると、その子のいる場所は案外近くて。

手届きそう。


「ほら、こっちおいで」

そっと手を伸ばすけれど、少しずつ後ずさってるなぁ。


「怖くないよ、ほら、助けてあげるから」

俺の武器の笑顔を浮かべても、

この子猫ちゃんには効かないみたい。


「ほら・・ってわぁ！！」

風に舞う、ベランダに干された洗濯物。


視界を遮るそれのせいで

目一杯伸ばした手は宙をかき、

バランスをくずした俺は真っ逆さまに落下した。



ーーーーーー



「いったぁ・・」

暫くコンクリートの地面で悶え

やっと起き上がると、

後ろに気配を感じた。



「あ・・」


「・・・」

とっても不信そうに俺を見つめる女の子。



「あ、怪しいもんじゃないんです！

子猫が屋根から降りられなくて鳴いてたので、

それを助けようとしただけでっ」


こんなんで通報されたらシャレにならない。

必死で説明するも、


「じゃあそれは・・」


指の先には、上から降ってきた洗濯物・・


イコール


「ッブラ・・ジャー・・です・・ね・・」


終わった・・・。


”手越祐也、仕事がなくてついに下着泥棒に？！”


そんな見出しが頭を過る。



「ふふっ、顔真っ青ですよ、手越祐也さん！」


急に表情を変え、ふんわり笑ったその笑顔に

俺は一瞬で恋をした。



ーーーーーー



「出会いは下着泥棒です！って書きなよ」


式のプロフィールを考えながら、Aが言う。


「ばか・・未遂でしょうが！」


膨らませた頬に、ツンツン、と

愛しい人の指が優しく触れた。






(つづく)

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