検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:50,923 hit

こんなはずじゃなかった(2) ページ8

「ちょ手越、どうしたどうした!?」

びっくりして肩を撫でる。



「嫌…なんだ…」

流した涙を親指で拭いかけると、手越に腕を掴まれる。


「何…が?」

不安になってくる。



「嫌なの…。ニュースにも出て欲しくないし、取材にも行って欲しくない!
知らない人に話しかけないで。慶ちゃんはずっと…」

「ずっと…?」

「俺の隣にだけ…いて…」

「え…」


前向きな手越から発せられた言葉に、動揺を隠せなかった。


「何でそんな事言うの?

俺やっと仕事もらえて、一生懸命やってるんだよ?

もっと皆に知ってもらって、いつか四人の活動に繋がれば良いなって…」


「いらないっ!」


手越は耳を塞いで崩れ落ちた。


「手越…」

「う〜…いらない…そんな仕事も…そんな夢も…」


「いらないって手越、どうし…」

俺の膝に乗せられた手越の頭が震えていた。



「慶ちゃんがいれば良いの…どこにも行かないで…おれの側にいてよ…」

「どうしたんだよ手越…」


ほとほと困り果てた俺に、助け舟を出したのは一本の電話。

まっすーからだ。



「ちょっと待ってね」

タップしようとすると、


「出ないでっっ!」

俺の手から携帯が祓われて宙に浮き、ゴッという音と共に床に落ちた。



「手越っ!」

買ったばかりの携帯が壊れたかもということよりも、
いつもと違う様子の手越に我慢が出来なくなって、思わず怒鳴っていた。

きっと、今まで生きて来て初めて見せた俺の怖い顔だと思う。


「慶ちゃんはっ…わかってくれないの…?

俺…一人ぼっちなんだよ…」

驚きで一瞬固まったけれど、また涙が流れ出す。


こんなに悲しそうな手越に怒鳴ったりして…

「ごめん…わかってあげられなくて…ごめんね…」


抱き締めて背中を摩る。

ずっと泣いていたけれど、ようやく泣き止んだのか、静かな寝息が聴こえてきた。


「寝…てる?」

そーっと離すと、泣き疲れて頬を湿らせたまま眠っていた。


ふぅ…。

そのままベッドに寝かせると、俺は寝室を出た。



「もしもし…まっすー、どうしたの?」

廊下に出て小声で電話する。


「手越…そっち行ってない?」

深刻な声。


「来てるよ。どうしたの?」

唯ならぬ雰囲気のまっすーに恐る恐る尋ねると、


「家族が…行方不明らしい。
手越が久しぶりに実家帰ったら、誰もいなくなってて、もぬけの殻だった…って」


そんな…。

すぐに電話を切って部屋に戻る。


手越はまだ、目をつぶっていた。



(つづく)

こんなはずじゃなかった(3)→←こんなはずじゃなかった(1)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
60人がお気に入り
設定タグ:NEWS , 小山慶一郎、加藤シゲアキ , 増田貴久、手越祐也   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

大福もちこ(プロフ) - クラハさん» おや、そうでしたか^_−☆笑 短編集だから内容は今と変わらないんですけどね。新・さくら並木〜でイイかな〜。考えるの楽しいですよね題名も☆ (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 美江にゃん□?さん» いいえ〜こちらこそリクありがとうございました♪楽しんで貰えたなら嬉しいです☆嬉しいな〜頑張りますよん! (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
クラハ(プロフ) - いや、クラハも本来そっち系…(笑)内容わかればタイトル考えてあげたいところだけど…タイトルは、クラハもセンスなし(;^_^A (2014年5月15日 22時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - クラハさん» あっクラハさん!読みに来て下さっていたのですね\(//∇//)\やたー!次の題名、悩み中です。女の子との恋愛よりこっちのが筆が進むのが悩みどす。爆 (2014年5月15日 22時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
クラハ(プロフ) - ベストカップル最高(笑)いや、面白かった♪←実はちゃんと読みに来ていたクラハでした (2014年5月15日 9時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Kim sora | 作成日時:2014年3月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。