ベストカップル？(T&M) ページ48
「いい天気だねー！」
俺の運転するオープンカーの助手席で、
ご機嫌な手越が伸びをした。
「でもさ、なんでオープンカーなの？」
「なに、気に食わないの？」
そんなんじゃないよと慌てて手を振り、
嬉しそうに車を撫でる。
ピンク色のオープンカーは、
ディーラーをしている知り合いに頼んで貸してもらったもの。
こんなの俺の趣味じゃないし、
目立つのもあまり好きではないけれど…。
「だって、俺たち、ベストカップルでしょ？」
「えっ？」
フレームを撫でていた手越が、俺の言葉に振り向いた。
普段は、積極的な手越に引っ張られているように見えるかも知れないけれど…。
「俺、誰にも負けないから」
「何が？」
好奇心に溢れた手越の声。
「お前を思う気持ちも、」
「俺を思う気持ちも？」
「…」
そこで言葉につまる俺の袖を、手越がぐいっと引っ張った。
「ちょ、引っ張るなよ。
お気に入りなんだからな！」
たまたま手越と色違いで買ったTシャツ。
大事に着てるんだから。
「お前を見る視線も！」
勿体ぶるのも恥ずかしくて
思っていたことを吐き出した。
「俺…を…見る視線…？」
きょとんとする手越が、
俺は一番好きだ。
滅多に見せない
素の表情だと思うから。
でもそんな表情は長くは続かない。
すぐにいつもの自信に溢れた顔になり、
「俺を見る視線、あんまり感じたことないんだけどなぁ〜、俺」
わざとらしくため息をついて、
フレームに肘をついてそっぽを向いた。
「うっそ、感じないの？
こんなに見てるのに？」
「うん、ぜーんぜん、感じない。
ほんとに見てるの？俺のこと…」
いつもと違う俺に気付いたのか、
チラッと上目遣いでこっちを見た。
「じゃ、これからはずっと、
お前から目ぇ離さないから」
前を見るのをやめて
手越を凝視する。
「ちょっとまっすー！危ないよっ！」
焦る手越に満足し、俺は急ブレーキを踏んだ。
「手越…」
ハンドルを握ったまま見つめ続ける。
「や…だな…」
「やなの？」
「俺…そんなに見られたら…」
「見られたら？」
「溶けちゃいそ…だよ…」
そんな可愛いことを言いながら、
唇を求めてくる小悪魔手越。
雁字搦めにしてあげる。
「ベストカップル賞、俺らのもんだから」
次々と追い抜かして行く車の中から
好奇の目が二人を刺す。
悪いけど、誰にもやらない。
手越も、賞も、どっちもね。
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» おや、そうでしたか^_−☆笑 短編集だから内容は今と変わらないんですけどね。新・さくら並木〜でイイかな〜。考えるの楽しいですよね題名も☆ (2014年5月15日 23時) (
レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 美江にゃん□?さん» いいえ〜こちらこそリクありがとうございました♪楽しんで貰えたなら嬉しいです☆嬉しいな〜頑張りますよん！ (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - いや、ｸﾗﾊも本来そっち系…(笑)内容わかればﾀｲﾄﾙ考えてあげたいところだけど…ﾀｲﾄﾙは、ｸﾗﾊもｾﾝｽなし(;^_^A (2014年5月15日 22時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» あっクラハさん！読みに来て下さっていたのですね\(//∇//)\やたー！次の題名、悩み中です。女の子との恋愛よりこっちのが筆が進むのが悩みどす。爆 (2014年5月15日 22時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - ﾍﾞｽﾄｶｯﾌﾟﾙ最高(笑)いや、面白かった♪←実はちゃんと読みに来ていたｸﾗﾊでした (2014年5月15日 9時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Kim sora | 作成日時：2014年3月16日 22時
