ベストカップル？(K&S) ページ47
「なぁ小山〜」
「なぁに？」
後部座席から身を乗り出すと、
運転席の小山がチラッとバックミラーを見る。
くっそ、こいつ…
三十路に足を踏み入れたくせに可愛い…。
可愛過ぎる…。
小さな鏡に切り取られているにもかかわらず、
その穏やかな笑顔は俺の胸をいっぱいに満たした。
「なによ？」
小山が怪訝な顔をする。
やべ、呼び付けたくせにニヤつく事に忙しくて本題忘れてた。
「あのさぁ〜、俺らって」
「ん？」
「ベストカップルだよね」
「ほえ？」
こちらを向く小山。
「おいっ、前見ろ前！」
「それどこじゃないよ。ちょっと停めるわ！」
そういうと小山は、目に着いた駐車場に車を入れた。
「なんで停めるんだよー。早く行こうよ」
久しぶりの遠出なのに、こんなとこで…。
「いいや、その話、詳しく聞かせてください」
真面目な顔して座席の上に正座した。
「だからー。
俺は小山のことしか見えないし、小山は俺のことしか見えてないだろ？
これ以上のベストカップルがいますか？って話よ」
「シゲちゃん、本気で言ってる？それ。
コヤちゃん、調子に乗っちゃうよ？」
「乗って良いよー。
だって俺は小山のものだか…んっ」
酔ってる時でも言わない様なことを
次々に口にするシゲに、俺は我慢の限界。
「や…小山、ここ、公園だよぉ…んっ…っ…」
背もたれが阻む二人の距離がもどかしい。
「シゲ、遠い…」
席によじ登って肩を引き寄せる。
しばらく俺に唇を預けていたシゲは、
俺の手を片方ずつ引き剥がすと
俺の手をじっと見つめた。
そして頭を傾げて、ぼんやりした瞳のまま
俺の親指にくちづける。
「シゲ？」
次は人差し指、中指、ひとつ飛ばして小指…。
それは俺を、何よりもうっとりとさせる儀式。
いつも飛ばされる場所を今日は…
「小山のここ、
俺にちょうだい？」
薬指に長い長いキスをして、
そのまま目線だけを俺に向けた。
「シ…」
「いいだろ？」
俺の涙腺は、シゲにしか操作できないって
お前は知ってる？
「そこだけでいいの？」
目を子犬みたいに潤ませた小山が言うと
湛えていた泪がひとつ、外にこぼれた。
「足りないけどな、俺は」
つぎつぎ溢れ出るそれを拭うこともせず
ニヤリと笑う小山が憎らしく。
そしてそれ以上に、愛おしい。
「ベストカップル賞は頂きだな」
泪をぺろっと舐めると、
小山は舌を出して、可愛く笑った。
fin.
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大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» おや、そうでしたか^_−☆笑 短編集だから内容は今と変わらないんですけどね。新・さくら並木〜でイイかな〜。考えるの楽しいですよね題名も☆ (2014年5月15日 23時) (
レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 美江にゃん□?さん» いいえ〜こちらこそリクありがとうございました♪楽しんで貰えたなら嬉しいです☆嬉しいな〜頑張りますよん！ (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - いや、ｸﾗﾊも本来そっち系…(笑)内容わかればﾀｲﾄﾙ考えてあげたいところだけど…ﾀｲﾄﾙは、ｸﾗﾊもｾﾝｽなし(;^_^A (2014年5月15日 22時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» あっクラハさん！読みに来て下さっていたのですね\(//∇//)\やたー！次の題名、悩み中です。女の子との恋愛よりこっちのが筆が進むのが悩みどす。爆 (2014年5月15日 22時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - ﾍﾞｽﾄｶｯﾌﾟﾙ最高(笑)いや、面白かった♪←実はちゃんと読みに来ていたｸﾗﾊでした (2014年5月15日 9時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kim sora | 作成日時：2014年3月16日 22時
