あげる(4) ページ35
「慶ちゃんお待たせ！」
ぼーっと外を眺めていた慶ちゃんに声をかけると
「うん、行こっか」
心なしかつまらなそうに目を伏せて、
慶ちゃんは扉の前に立った。
開かれた扉から外に出ようとして
急に振り向いた慶ちゃんは、
「手越、俺あそこ行きたい」
笑顔で指さした先は
有名なパーラーで。
「え〜、甘いものしかないんじゃないの？」
「そんな事ないって。
俺一回行ってみたかったの！」
急にテンションを上げるから。
まあいいか。
「じゃ、行こっか」
機嫌を直してくれたことにほっとして
また腕を絡める。
ピンクのサマーニットが優しく
俺の手に触れる。
「いいね、この服」
「でしょ？」
「うん、似合ってる」
「ふふ、ありがと」
ふわっと頬を染める慶ちゃんが、
なぜだか消えてしまいそうで。
「行かないで」
思わず口をつく。
「え？」
ぱっと俺を見るその目に。
「ほら、着いたよ」
ごまかしてパーラーのドアを開けた。
ーーーーーーーーーー
「さっきの、」
華やかなデザートプレートと
ポットに入った紅茶と珈琲が運ばれてきて
ひと息ついた時、
神妙な面持ちで口を開くと
「ん？」
苺を満面の笑みで頬張る慶ちゃんが
ひょいっと顔を上げる。
セットしていない茶色の髪が
ふわりと揺れて。
「あげる」
「え？」
テーブルに乗せた白い箱。
「へ？」
フォークを手にしたまま
箱に落とした視線が、
明らかに揺れている。
顔にはてなマークをいっぱい浮かべたまま
包みを開き、
中の箱をそっと開ける。
「手越？」
そこから先の慶ちゃんの表情はわからない。
何を言われるだろうかと考えるのに必死で、
「ほんとは前から注文してあったの」
そんなことを
言っちゃっていた。
二人の名前が
内側に刻印された指輪。
「慶ちゃんのはピンクだよ」
ダイヤに挟まれた石はピンク色で。
「俺のって・・これ・・・」
どんな顔してんのか
直視できないけど。
「もらって、いいの？」
少し柔らかくなった声に、
俺はようやく顔を上げた。
(つづく)
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大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» おや、そうでしたか^_−☆笑 短編集だから内容は今と変わらないんですけどね。新・さくら並木〜でイイかな〜。考えるの楽しいですよね題名も☆ (2014年5月15日 23時) (
レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 美江にゃん□?さん» いいえ〜こちらこそリクありがとうございました♪楽しんで貰えたなら嬉しいです☆嬉しいな〜頑張りますよん！ (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - いや、ｸﾗﾊも本来そっち系…(笑)内容わかればﾀｲﾄﾙ考えてあげたいところだけど…ﾀｲﾄﾙは、ｸﾗﾊもｾﾝｽなし(;^_^A (2014年5月15日 22時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» あっクラハさん！読みに来て下さっていたのですね\(//∇//)\やたー！次の題名、悩み中です。女の子との恋愛よりこっちのが筆が進むのが悩みどす。爆 (2014年5月15日 22時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - ﾍﾞｽﾄｶｯﾌﾟﾙ最高(笑)いや、面白かった♪←実はちゃんと読みに来ていたｸﾗﾊでした (2014年5月15日 9時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kim sora | 作成日時：2014年3月16日 22時
