こんなはずじゃなかった(5) ページ11
痛むお腹と背中を抑えながら起き上がる。
支えられてリビングのソファに移動し背中を見てもらう。
「赤くなってる。ごめんね慶ちゃん・・痛いよね」
シャツをおろして小さな声で言った。
「痛いけど平気だよ。すぐ治るからさ、ね」
手越の方を向いて言うと、
「優しくしないで・・」
今日の手越は涙腺が壊れているみたい。
今日何度目かわからない涙を、また零した。
「なんで、どうしたの手越・・」
「こんなはずじゃなかったの」
また？今度は何が。
「色々、こんなはずじゃなかったって言ったよね、俺」
「うん」
顔を上げた手越はこれまでに見たどの手越よりも悲しそうで。
どんな言葉を持ってしても、慰められそうには思えなくて。
「慶ちゃんのことなんだ。
一番こんなはずじゃなかったって思ってるのは、慶ちゃんのこと」
「え？どういうこと？」
何を言いたいのか全然わからない。
「慶ちゃんのことどんなに好きになっても、ずっと一緒にはいられない。
いつかは別れが来て、別々の未来を選ばなきゃならない。
それなら好きにならなきゃよかったのに・・」
「なんでそんなこと言うの？
一緒にいられるよ。俺ずっと手越と、」
言いかけた言葉は遮られる。
「いられないよ！
俺、自分の子どもが欲しいんだ・・」
どこかで頭にあった。
だけど、親の為じゃなく
手越自身が子どもが欲しいと思ってたことに気付けずにいた。
「こんなはずじゃなかったの。最初は良いなって程度で。
慶ちゃんと一緒にいると楽しいから、恋人になりたいなって」
「うん、俺もだよ」
段々手越の顔が見られなくなってきた。
いられないとはっきり聞かされ、胸がちぎれそうに痛んだ。
「こんなはずじゃなかった・・。
慶ちゃんのこと、こんなに好きになるはずじゃ。
だけどもう、慶ちゃんがいないと俺、生きられないよ・・」
「じゃあ、どうしたいの？
子どもが作れないなら一緒にいられないの？
一緒にいられないなら死ぬの？わかんないよ、俺・・」
自分の目からも涙が溢れていた。
「俺だって、わかんないよ・・」
手越のあったかい両手がふわっと俺の頬を包んだ。
「泣かないで、慶ちゃん」
今まで散々泣き散らかしておいて、
俺が泣くとそんなこと言うなんて。
いい年した大人が二人、途方に暮れている夕暮れの部屋で。
「わかるまで、一緒にいよう」
そう言って無理矢理笑うと、
やっと手越は頬をほころばせた。
fin.
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大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» おや、そうでしたか^_−☆笑 短編集だから内容は今と変わらないんですけどね。新・さくら並木〜でイイかな〜。考えるの楽しいですよね題名も☆ (2014年5月15日 23時) (
レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 美江にゃん□?さん» いいえ〜こちらこそリクありがとうございました♪楽しんで貰えたなら嬉しいです☆嬉しいな〜頑張りますよん！ (2014年5月15日 23時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - いや、ｸﾗﾊも本来そっち系…(笑)内容わかればﾀｲﾄﾙ考えてあげたいところだけど…ﾀｲﾄﾙは、ｸﾗﾊもｾﾝｽなし(;^_^A (2014年5月15日 22時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - ｸﾗﾊさん» あっクラハさん！読みに来て下さっていたのですね\(//∇//)\やたー！次の題名、悩み中です。女の子との恋愛よりこっちのが筆が進むのが悩みどす。爆 (2014年5月15日 22時) (レス) id: 0618d2993c (このIDを非表示/違反報告)
ｸﾗﾊ(プロフ) - ﾍﾞｽﾄｶｯﾌﾟﾙ最高(笑)いや、面白かった♪←実はちゃんと読みに来ていたｸﾗﾊでした (2014年5月15日 9時) (レス) id: 3632dde973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kim sora | 作成日時：2014年3月16日 22時
