22. ページ22
.
小さい頃、体が弱かった僕は自分の部屋と窓枠からみえる空、そして母さん。それが世界の中心やった。
__________
緑「おかぁさん。僕、なんでお外出たあかんの?出たい!」
母「ともはちょっと体が弱いからなぁ。もっと大きくなったら出れると思うで!」
父さんはいつも仕事で帰りが遅かったから、必然的に母さんと話すことが多かった。
母さんは笑顔の絶えない元気いっぱいの人やった。
緑「僕、世界で一番好きなんは母さんやで!」
母「ありがとう!お母さんも、とものこと世界で一番大好き!」
でも、『世界で一番』という言葉は次に生まれた弟にいとも簡単に奪われてしまった。
僕の家は代々続く老舗のお店をやっていて、後継者が必要やった。
男で、体が丈夫で元気のある、後継者が。
僕は後継者に置いて、『男』ということしかクリアしていなかった。
体は弱いし、すぐ泣くし。
そんな僕のことが父は嫌いだったのだろう。だから家にあまり帰らず仕事にばかり行っていた。
でも弟は僕とは正反対で、元気に庭を駆け回って、いつもばあや達を困らせていた。
その頃からかな?父はよく家に顔を見せるようになった。
女の子みたいな白い肌に、病弱な体の僕。
男らしく日に焼けた肌に、頭のいい弟。
どちらが後継者に選ばれるかはもう誰もが分かりきっていた。
そして、そんな僕から母が離れていくのも当然やったんやろう。
でも、諦めの悪い僕はたとえ一番じゃなくても…二番目だったとしても、愛してもらえてるはずやってまだ信じてた。
266人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kt.(プロフ) - かすみんさん» ありがとうございます(*´∀`)もう少し続きますので、良かったら見てください! (2017年5月29日 23時) (レス) id: bde8abe515 (このIDを非表示/違反報告)
かすみん(プロフ) - このお話大好きです!読みやすいしすごくきゅんきゅんします!これからも更新頑張ってください! (2017年5月28日 3時) (レス) id: 17c27466bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kt. | 作成日時:2017年5月7日 16時