虹を待つ (ページ11)

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side A

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ピンポン

軽めのチャイム音。

｢はーい！｣

開けた先にはムスッとした顔のしげ。

｢人違いデース｣

すぐ閉めようとしたけど、ドアに足を挟ませてるから閉まらへん。

赤｢何が人違いや！…実物を見せろ！｣

なんの実物かなんてすぐ分かる。
今日のお昼うちが送ったしおりのことや。

｢やっぱり、気になるんやなぁ｣

ニヤニヤが止まらんわ。
メール打ちながらニヤニヤしとってともに変な顔してるぅー。って言われてちょっと、傷ついたんは内緒にしとこ。

｢これ！！｣

ジャンジャジャーン！

豪華な効果音付きで出してきた素朴なしおり。
でもこのしおりはともがくれた。それだけで大きな価値がついてる。

赤｢こ、これが…！｣

拝みそうな勢いでしげがしおりを見る。

｢可愛いやろぉー！Aちゃんにぃー！ってともがくれたんやで｣

赤｢…きっしょ。｣

うちの渾身のとものモノマネはしげの一言で撃沈。

｢うるさいな…！うちがどんだけキモくても、ともがくれた人はうちやねん！｣

赤｢…でも俺が神ちゃんのこと一番好きやもん！｣

｢はぁー、独りよがりの思いほど切ないもんはないわ、｣

うちがあんまりにも余裕のある顔でドヤ顔をかますのでしげはだんだんイライラしてきてるみたい。

…ごめん、でも楽しくて止められへんわ。

緑｢Aちゃ、、どこぉ～？｣

おトイレで起きてきたらしい。

ちなみに今は夜の11時。

｢はいはい、こっちやでー！｣

赤｢神ちゃん！｣

緑｢あ、…大ちゃんやぁ～｣

眠いのかふわふわした口調でしげのことを呼ぶ。

赤｢…やっぱ大ちゃん呼び最高やな｣

｢きっしょ。｣

赤｢お前…なんでこの良さがわからんねん｣

｢わかりたくない。｣

赤｢冷たない！？｣

緑｢Aちゃん、おトイレー！｣

うちらがどうでもいい話をしてたらともがちょっと怒ったような顔でトイレを訴える。

｢あ、そうやったな！行こか！｣

赤｢俺を無視すんな！俺を！｣

｢わかったわかった！…じゃとも行こか！｣

赤｢してるやんかぁ！緑｢もう！大ちゃんAちゃんとお喋りせんとって！！｣

突然ともがうちとしげの前に立ち塞がりしげを睨む。

赤｢…え、、｣

緑｢Aちゃん！おトイレ！｣

しかも無視…
さすがに、可哀想…

｢ちょ、とりあえず今日は帰り？｣

赤｢…おん。｣

肩を落として名残惜しそうに帰るしげは月明かりも手伝ってすごく寂しそうやった。