時代を創る (ページ40)

今日:2 hit、昨日:19 hit、合計:8,944 hit

進学の話 3 ページ40

.

初めての映画撮影や、ミュージカル出演を務め上げた2015年の前半だったが、季節も夏に入り音大受験のレッスンがさらに加速していた。

レッスンに加えて、ガムシャラ！のリハもラストスパートに入っており、私はあっちでも歌いこっちでも歌う生活に追われる日々だった。

さらに、SexyZone Channelも終わってしまい、上4人はSexyZoneのツアーのリハ。下3人はガムシャラ！のリハで会うこともほぼ無くなり、場を引っ張ってくれる存在の大きさを改めて感じるリハだった。

「ねぇA、この曲の後の移動ってこれであってるっけ…？」

コソッと聞いてきたのは聡だった。

「さっきサンチェさんが言ってたのはそうだったと思うけど…
でも、私グループ違うし正確じゃないと思うよ？松田くんとか松倉くんに聞いた方が…」

確かに私のグループは聡ちゃんのグループの次の出番なので、聡ちゃんの捌け方も聞いてはいたが正確か自信はない。

「うん…でも、やっぱり僕の方が引っ張らなきゃいけない立場なのに捌け方も覚えてないなんて言いづらくて…」

「そんなこと気にしなくてもわからないことは聞いていいのに…元々聡ちゃんわからないことはわからないって素直に聞いてたじゃない。」

「あの中だと聞けたけど、今はちょっと気にしちゃうんだよね…Aも引っ張らなきゃってがんばってるじゃん、無理してないの？」

自分のことに精一杯のはずなのに私の心配までしてくれる聡ちゃん。どこまでお人好しなんだろう。

「私は大丈夫。みんないい子だし、私の方が支えられてるよ。」

私は、春香ちゃんや私の後に、少しずつだが入所してきてくれた女子達とグループを組んでいた。

素人同然の子達なのでかなりのレッスンが必要だったが、彼女達も食いしばってレッスンをこなした。そして、なんとか最近は魅せられるようにもなってきて、本人達も自信を少しずつ付けている。

「あの子達もがんばってるから、私もがんばらなきゃって逆に背中叩かれてる感じかな。」

「そっか…無理してないならいいんだ。でも、A休めてないよね、ここ暫くは毎日レッスンとリハで埋まってるの知ってるよ？」

笑いながらそう言う私に、心配そうに返す聡ちゃん。

「でも…今無理しないと、私の道は開けられないんだよ…。今、やらないと。」

私は、心配の色が消えない聡ちゃんを振り切るようにリハに戻って行った。

.