__Maruyama side. ページ8
「あっはははは！！」
「シゲちゃーん、飲みすぎやってぇ」
「いいんですよぉ、明日オフですからぁ」
「いや、明日小山くん家行く言うてたやん…」
「だーいじょうぶですってぇ…」
飲みすぎたシゲちゃんは、いつも以上にニコニコしてた。
顔を真っ赤にして。
…あ、ニコニコっていうよりはヘラヘラやな。
飲みすぎやって何度も言うたんやで、俺。
明日小山くん家行くんやろって。
何度も何度も注意したんやで。
「丸山くぅん…」
「どしたーん？」
「…へへ」
シゲちゃんが子犬みたいな目でみてくる。
俺は優しく呼びかけるも、シゲちゃんは笑うだけ。
なんやねんってツッコミそうになってまう。
「丸山くぅん…丸山くん…」
「シゲちゃん、そろそろ帰ろか？送ってくで。」
「え〜…もう帰るんですか…？」
「そんな目で見んといてぇや…ほら、行くで」
イヤイヤと首をふるシゲちゃんを無理やり引っ張り、店を出た。
ここはあれや。
俺は奢りや。
すぐに車に乗せてシゲちゃんの家に向かう。
「…」
「シゲちゃん…？寝てもええよー」
「…」
返事がなかった。
もう寝たのかと思い、俺は静かにした。
でもすぐに花をすする音が聞こえた。
「シゲちゃん…？泣いてるん…？」
恐る恐る聞いてみた。
「丸山くん…俺…も、嫌です」
「なにが嫌なん？」
「全部…全部嫌です…」
「全部…？」
「帰りた…」
途中で言いかけてシゲちゃんはコテン、と首を落とした。
それから規則正しい寝息が聞こえてきた。
俺は残された涙を拭いてあげた。
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作者名：カミ | 作成日時：2017年2月5日 19時
