say goodbye２ (ページ42)

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__Masuda side. ページ42

「手越」

さっき車に乗っていたのは手越だろう。
見られてしまった。
俺の後ろにあるモノは見られていないだろうけど。

「…っクソ！」

そばにある青いプラスチックのゴミ箱を蹴倒す。
中から流れ出してきた生臭い塊に吐き気がした。

「オエッ…オエェ…ッ」

一度感じてしまった不快感は止まらなくて、俺は自分の中にあるドロドロした感情も一緒に吐き出すかのようにその場に嘔吐した。
いつもいつも、吐いてしまう。
俺のナカにある別の仕事を終えるといつも。
こんなことをいつまで続けなくちゃならないんだろうという疑問と、胸に残るモヤモヤ。
まるで人一人殺してしまったかのような感情に陥る。

「ハァ…ッ、ハァ…ッ、なんで…もう…っ」

肩で息をする。
もうこんなことはゴメンだ。
なんで俺はこんな非現実的なモノと戦っているんだろう。
たしかに世の中には少しくらいそういう人がいてもいいかもしれない。
でもなんで俺なんだ？
手の中にある十字架を握りしめる。
顎にかけてあるマスクを鼻まで引っ張り、フードを深く被る。

「ヴァンパイア、らしく生きれるほど簡単じゃない。悪魔だけの世界さ…」

鼻歌を歌う。
ザリッという足音を立ててこの薄気味悪い路地から出ていく。
少し荒らしてしまったことに申し訳なさもあったが、片付けないで出てきた。

～♪

握りしめていた十字架を首にかけ直す。
本当、嫌になっちゃうよな。

ヴァンパイアハンターなんて。