__Masuda side. ページ1
「無理。俺の血は、吸血鬼に売るわけにはいかない。」
「そんなこと、百も承知です。あなたが何者なのかということも、これから何をしようとしてるのかということも。こちらの世界の住人には、すべてお見通しです。」
「そっか…バレてたか。」
「もちろんです。」
「で?あんたは俺を止めるの?」
「もちろん。義務ですから。あなたから血を奪えばそれまで。」
ゆらりゆらりと近づいてくる。
俺はそれと比例して一歩二歩と後ろへ下がる。
距離は縮まらない。
「時は止まっています。もう先日のように誰かが助けてくれるなんてことはありません。さぁ、おとなしく血をよこしなさい」
「…この野郎!うるせぇ!」
俺は駆け出した。
勢いよく楽屋に戻る。
すれ違う人は皆止まっていた。
「逃げられるわけがありません。」
「…っは!」
急にブレーキをかけ振り向く。
すぐ目の前までソイツは来ていた。
俺は首からぶら下げていた十字架を見せる。
「十字架…!!!」
「消えろ」
「ぐぅぁ…っっ、、血…!!血ィィ…」
吸血鬼は俺に手を伸ばしてもがきながら灰になった。
気がつけば、みんなは動き出していた。
俺は本物のヘアスタイリストさんに髪をセットしてもらってから、楽屋に戻った。
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作者名:カミ | 作成日時:2017年2月5日 19時