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ケーキを食べ終えて、
ソファで
2人でゆっくりしていたら、
携帯が鳴った。
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着信を知らせるランプが光っているのは、
私の端末で。
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「出ていいよ、」
「すみません、」
「シャワー浴びてくるね、」
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そういって、
私の頭をふんわり撫でて。
櫻井さんは、シャワールームに消えていく。
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その後ろ姿を見送って
画面をタップして端末を耳に当てる。
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「＿もしもし、」
『おっせえ、お前出るの、』
「も・・・ほんと、最悪」
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ふわふわと甘い気持ちが、
一瞬で飛んでいく。
仁のことは好きだけど、
こういう時、思いっきりため息をつきたくなる。
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『現経論のレポート出した？』
「だしたよ・・・」
『まじ？はやくね？』
「仁が遅いだけじゃん・・・あれって明後日まで、」
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微かに、水の音が聞こえる。
シャワーの音だ。
どくん、と胸が音を立てる。
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『参考文献何使った？論文？』
「本借りた、図書室で」
『あった？』
「あった・・・けど、誰かに借りられてるかもね・・・」
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なんで、ギリギリになって
そんなこと言うんだろう。
早く言ってくれたら、
返却してまたすぐに借りたのに。
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『タイトルと著者教えて、論文検索かけてみる、』
「っあー・・・」
『あ？なんだよ、』
「USB、バイト先に忘れてて。データ手元にないから明日また連絡する、」
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今出先だから、明日また連絡する、って言えなかったのは。
この関係がばれたら
絶対に反対されるって、分かってるからだ。
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投げられる文句をハイハイ、とかわして
さっさと電話を切った。
最後の言葉は私の「ブロックするよ、」だった。
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仁はうっ、と言葉に詰まって
素直におやすみ、を言う。
単純なところは、少し可愛い。
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邪魔されないように、
電源を落とす。
電話かけてくんな、ばーか。
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心の中で悪態をつく。
声に出して言えないのは、
櫻井さんが上がって来たから。
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「次、どうぞ？」
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ふふ、と
少し意地悪な目で笑う。
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温かい柔らかい声が、
たまらなく好きだと思った。
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