今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:457,036 hit
小｜中｜大
8 ページ8
「帰るの？」
「あぁ…はい。明日バイト入っちゃって、」
「あぁ(笑)」
「夜遊びはおしまいにします(笑)」
.
そっか、
綺麗に整った眉を下げて笑った後、
″マスター″と、カウンターの中の男性に声をかけた。
.
「会計、彼女のも一緒に、」
「え、や…大丈夫です、」
「いいよ、甘えときな、」
.
鞄の中から財布を取り出そうとした私の手を止めて、
にっこり優しく笑った後、
私の分も一緒に会計をしてくれた。
.
「ごちそうさまでした、」
「どういたしまして、」
.
財布をしまったその手で、
彼は小さな紙を差し出して。
.
「これ、いつでもご連絡下さい」
「わぁ、大人みたい！」
「大人ですから(笑)」
.
陳腐な感想に、
可笑しそうに笑った彼が、
名刺を私に手渡す。
.
そう言えば、と思い出して鞄の中を漁ったのは、
財布の中に以前講義で作った名刺が、
使わずにまだ何枚か残ってると思いだしたからで。
.
「じゃぁ、私のも、」
「お、大人みたい(笑)」
「大人…ですから(笑)」
「自信なさそうだな、」
.
くすくす、と笑った後、
すぐに真剣な顔になって。
差し出した紙を、彼は丁寧に両手で受け取った。
.
「途中まで送るよ、」
「え？いや、すぐそこだから。大丈夫です、」
「…甘えときなさい、」
.
彼はやっぱりそう言って、私の背中を押して店を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 768人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
